『羽生善治のみるみる強くなる将棋 終盤の勝ち方 入門』レビュー
羽生善治のみるみるシリーズ三部作の内、最も新しい第三弾の紹介をします。
因みにこの本についても低級者の時、私自身は読むことはしませんでしたが、今になって読破しました。
私目線で初心者や低級者に役に立つ本か、感想を書いてみましたので、良かったら参考にしてください。
羽生善治のみるみる強くなる将棋 終盤の勝ち方 入門 (池田書店 羽生善治の将棋シリーズ)
- 作者: 羽生善治
- 出版社/メーカー: 池田書店
- 発売日: 2010/06/25
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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羽生善治竜王監修の2016年出版の本です。
内容は、概略以下のような感じでした。
◎プロローグ … 終盤で初心者が陥りやすい失敗等
◎第1章 … “詰み”とは何か/練習問題4+6問
◎第2章 … “詰めろ”とは何か/練習問題9問
◎第3章 … “必至”とは何か/練習問題4問
◎第4章 … “寄せ”の考え方/囲い崩し(矢倉囲い、美濃囲い、穴熊囲い)
◎第5章 … “受け”の考え方、基本の受け方/練習問題4+3問
◎第6章 … 終盤における考え方/総合問題23問
全体の流れとしては、王手の連続など初心者が陥りやすい失敗を指摘した後、
詰み→詰めろ→必至
と段階的に必至までを理解させ、その後寄せの考え方を丁寧に説明し、受けにも触れ、確かにこれを読めば終盤について一通り理解できる内容になっています。
特に初心者〜低級者がこの本を読むメリットは3つ
①王手は追う手であることを実感できる。
②終盤で“詰み”以外にも考えの切り口(詰めろ、必至、守備駒の排除等)があることを知ることができる。
③寄せの勉強の必要性に気付くことができる。
実際、私はウォーズ4級ぐらいまでは、終盤になるとただひたすら
( ゚Д゚)「詰みはないか…詰みはないか…」
と詰み探すマシーンになってました(笑)
とりあえず詰将棋の感覚で盤面を見るが、詰みそうな手は見えない。
でも、詰まないし、必至の形も知らなければ囲いの崩し方も分からない。じゃあ、王手かけてみるか…
これは寄せの勉強不足により、詰将棋という武器しか当時持ってなかったために起こった悲劇です。詰みの前に寄せをやらなきゃ、という意識がほぼありませんでした。
言葉として、「長い詰みより短い必至」などは知ってたんですがねぇ…当時こういう本を読んでいたら大分違っていたように思います。
そういう意味で、寄せをする意識がつくという点
で、特に過去の私と同じ思考回路を践んでる人にオススメです。
逆にデメリットは以下の3つ
①詰み、詰めろ、必至の説明に、何と半分強のページ数を割いている。(110/207P)よって、これらの概念を理解している場合、コスパが悪い。
②練習問題が少ない。
初心者だと、“詰み”はともかく“詰めろ”や“必至”を言葉としては知ってても、その定義があいまいな人は多いです。(自分はそうでした。)
そういう人は、本書を読めばしつこいほど丁寧に説明されているので必ず理解できると思いますが、既に理解している人には残念ながら蛇足です。
あと、問題数が少ないので、トレーニングの用途には適しません。あくまでも考え方がメインの本です。
最後になりますが、、、
個人的に一番面白かったのは、最後の総合問題ですね!
これめっちゃ良いです!!(*^^)v
詰みか、必至か、その他の寄せか、どれが正解か分からない状況で問題を解く。
流石に私には簡単すぎましたが、人によってはこれを解くことで、視野が広がる人もいると思います。
ただ、問題数が少ないんですよね。
誰かもうちょい難易度上げてこの手の問題集作ってくれないかなぁ…