苦しんで強くなる将棋ブログ

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『史上初の詰飛車問題集』レビュー

本書を本屋で見かけ、飛車詰め問題集ってのは新しいなーと少し感心しました。

買って読んでみたのでレビューしてみたいと思います。


史上初の詰飛車問題集

史上初の詰飛車問題集

【対象棋力:初心者〜ウォーズ5級】



以下Amazonの内容紹介からの引用です。

内容紹介

史上初の詰飛車問題集。 
今まであるようでなかったテーマの将棋本です。
つるの剛士さん推薦、森下卓九段の解説文つき。

素人が簡単に勝てるための必携書です。 

藤井聡太六段からの将棋ブームで将棋に興味を持った人や、 
何年・何十年ぶりに将棋を指そうと思った人、 
「将棋ウォーズ」などのアプリで将棋にハマってしまった人などにうってつけ。 

素人が簡単に勝つためのキーワードはもちろん飛車です。 
詰飛車に特化した全80問を収録しています。 

(はじめにより) 
「ひょっとして、素人の将棋なんて飛車をとってしまえば勝ちじゃねぇの?」 
私の心にわき上がってきたそんな素朴な疑問を、
長年の友人でありまぎれもないプロ棋士である日本将棋連盟の石田直裕五段にぶつけてみた。 
「そうですよ。というより、プロ同士の対局でも飛車をとられたらだいたい終わりですよ」 
石田五段は、そう断言した。 



この本のキャッチコピーは、下記です。

ヘボ将棋は飛車を取るだけで勝てる。“最強の素人”を約束する一冊。



2018年3月に発売された本で、石田直裕五段が問題製作に携わっているそうです。
素人(初心者)をターゲットとした本のようですね。



この本の有用性を図る上でのポイントは、

①一般的な王を詰ます詰将棋よりも、初心者にとって有用か

②この本を読むことで到達できる“最強の素人”はどの程度か

(同じ初心者相手に勝ちやすくなるか)

という点でしょう。



◎本書の構成

問題は全80問で、コラムを挟んで前半30問が1手詰、後半50問が1手〜3手詰です。

詰飛車問題集なので、最低でも捨て駒は銀一枚程度に抑えつつ、相手の飛車を詰まして駒得を狙う問題がズラリ。

また、基本的に部分図の問題ですが、最後の5問だけは全ての駒を動員した局面図での問題になっています。

悪い点を挙げるなら、ヒントが各問題にデカデカと書いている点です。
それ答えだろってヒントが多いですが、初心者向けの本だから助かる人も多いのかな?



◎実際に解いてみた感想

難易度は一般的な入門用の一手詰問題集とほぼ同じかやや低いくらいです。

3手詰も難易度はほとんど変わりません。
手応えのある問題を期待してた人は、買うと拍子抜けしますので注意。

王を詰ますのと比較して感覚が違うのかな?とそこに興味がありましたが、あまり変わらず一般的な詰将棋を解いている感覚。
唯一明確に違うのは、王手を利用して飛車を素抜く手筋が出てくるところかな…



それで、初心者にとって、詰飛車問題が有用かどうかなんですけど…

結論は微妙かな、と思います。
(あくまで個人の意見です。)


正直なところ、これだったら普通の一手詰問題集でいいかなーという感じ。

普通に一般的な一手詰を解いていれば、この程度なら同じ感覚で気付けるようになる気がします。

1手詰将棋と同じく駒の利きを理解する訓練にはなると思いますが、わざわざ飛車でやるメリットがないっていうか…


“飛車を取れれば、素人将棋は勝ち!”ってのが概ね正しいのは賛成ですが、決まるのは大概「相手がウッカリしていた」場合に限るんですよね。
王手飛車とかまさにそう。

要するに、「素人はミスをするから、相手のミスを咎めて勝とう」ってのが出発点の本だと思うのですが、飛車を狙うだけだと相手のウッカリに期待するしかないので安定して勝てません。

また、初心者がこの本を読むと、相手が王手飛車を見逃すことを期待するような指し方をするようになりそうで、少し心配です。
子どもなら尚更ですね。



とは言え…

現実問題として初心者〜低級の将棋で、例えば王手飛車を「かける側もかけられる側も」ウッカリ見逃したってのは実際結構見かけるので、(特に角を使った王手飛車)この本だけではまず勝てないと決めつけるのも早計かもしれません。

ただ、それも対局で食らったりしていくうちに、自然と学習しますので…(^_^;)
少なくとも気持ちの上では、ね。

この本をわざわざ使う必要はないと思います。


本書のみで勝つとするならば、前提として
「相手が駒の動きしか分からない完全な初心者」
ってのが最低条件な気がします。



因みに、私は前書きやコラムもジックリ読んで30分くらいで読了しました。
1手詰が楽に解ければ、この本は物足りないと感じると思います。

象棋力はあくまでも初心者です。



◎本書が有用な人

本書をお薦めする人がいるならば、楽に勝ちたいって人よりも、
「いつも王手飛車を決められて負けてしまう」
って人かな。
詰飛車問題を解くことにより、結果的に王手飛車のラインに目がいくようになって、ミスが減る効果はあるかもしれない。


逆に、職場のアイツに手っ取り早く勝ちたい!!って理由でこの本を手に取るのは、間違いです。

正直“素人”相手に馬鹿勝ちしたいなら、「原始棒銀」を覚えた方が早いですし確実です(^_^;)
受け方を知ってるなら、相手はもはや素人ではないしね。



◎個人的に勉強になった問題

全体的に批判っぽくなりましたが、実はなるほどと思った手筋もありました。
本書の第75問、3手一組の問題です。

詰飛車問題という点がヒントになっているため少し考えれば分かるのですが、他にも有用そうな手は多く見える局面なので、実際の対局ではつい他の手を指してしまうような気がします。

著作権的に問題図だけなら掲載してもOKなのか、それでも駄目なのかよく分からなかったので、今回は載せることはできませんが…

興味ある人は覗いてみてください。



◎終わりに

今まで誰も手をつけなかった分野に目をつけて出版まで漕ぎ着けたのは評価できますし、面白い試みだと思います。

ただ、残念な点は、一般的な一手詰集との明確な違いをダイレクトに感じることができなかった点です。

加えて、“素人が簡単に勝てる”っていうキャッチコピー通りの本になっていない点ですね。

もう少し手数を増やしたり工夫をすれば、需要が増えるかもしれません。
まあ、普通の詰将棋に飽きたって言う人は覗いてみても良いかもね。



因みに、コラムとして石田五段が奨励会時代成績がふるわず苦労した話なんかも載っているので、プロになるのがどれだけ大変か知らない人は読んでみてもいいかもしれません。