『1・3・5手実戦型詰将棋』レビュー
前回に引き続き、詰将棋本のレビューです。
- 作者: 飯野健二
- 出版社/メーカー: 池田書店
- 発売日: 2010/07/29
- メディア: 単行本
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本書の構成
2015年出版の飯野健二先生の詰将棋本です。
いわゆる実戦型の問題集で、パズル的要素はなし。
1手詰80問、3手詰84問、5手詰110問で構成されています。
ヒントあり。(ページ左端なので隠しやすい)
まえがきでも触れられていますが、あえて詰将棋としての作品性を出すことを抑えた上で、実際に頻発する詰め手筋(頭金など)がたくさん盛り込まれています。
要するに、一般的な詰将棋作品集としてではなく、詰将棋ドリルとして作られた本です。
故に、なかには持ち駒の金をベタベタと打ってオシマイ、なんて問題もありますが、案外そういう問題が載ってる詰将棋本が少ないんですよ。
そして、そういう問題を必要としている人は必ずいます。
例えば、初心者は頭金で詰むことが感覚的に理解できないです。
一度誰かに指摘されたり本で概念を知ることができれば次からは瞬間的に対応できますが、最初は難しいものです。
無から有を生み出すのに近い…。
少なくとも私は初心者の頃駒の動きは完璧でしたが、頭金で詰む局面で敵玉に狙いをつけてなお熟考しなければ指せませんでした。
覚えたら一発なんですけどね。
実際解いてみた感想
普段は先頭から順番に解いていくんですが、今回は3手詰と5手詰を並行して解いていきました。
最後に残った一手詰80問を一気に。
飯野先生の本は、同じドリル系統の本である浦野先生のハンドブックシリーズや高橋先生の○手詰将棋シリーズと比較して、妙手や鬼手と感じる手が良い意味で少ないように感じます。
特に本書はその傾向が顕著です。
また、同じ詰め手筋の問題が繰り返し出てくるのが目に付きました。
それをどうとるかですが、個人的にはその点は復習にもなるし、頭休めにもなって悪い印象はありませんでした。
肝心な本書の難易度ですが、ハッキリ言ってかなり低いです。
というより、手数が同じものと比較すれば、私が今まで解いてきた詰将棋本の中で、圧倒的に一番簡単でした。
『3・5・7手実戦型詰将棋-基本手筋をマスターし、級から段へ (池田書店 将棋シリーズ)』も解きましたが、こちらは3手詰や5手詰が浦野先生のハンドブックシリーズと比較して難易度はさほど変わらなかったように思います。
7手詰が次々と解けて嬉しかったので思い出が美化されていますが、5手詰で結構苦戦した覚えがあります。
わざわざ、1・3・5手と3・5・7手で本を分けた理由が何か疑問でしたが、同じ手数でも難易度が全然違うんですね。
今回解いた結果
以前レビューした『3手詰ハンドブック』の平均タイムが41秒、『5手詰将棋:テーマは「実戦! 」 (将棋パワーアップシリーズ)』が2分14秒であったことを考えると、本書の難易度の易しさが窺えると思います。
(『5手詰将棋』のレビューでおそらくかなり簡単な5手詰本だと書きましたが、本書には完璧負けます)
しかも本書は完全に初見です。
とはいえ、この程度の難易度なら平均して一手詰なら1秒、3手詰なら10秒、5手詰なら30秒程度で解けるようになりたいものです。