苦しんで強くなる将棋ブログ

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才能皆無だが、試行錯誤して棋力向上を目指す。日常ネタもたまに…

『藤井聡太推薦! 将棋が強くなる基本3手詰』レビュー

きままに古い新しい関係なく読み終わった本について勝手な解釈で書き連ねるのが常なのですが、今回は珍しく発売して間もない(?)と言っても良い書籍の紹介です。



藤井聡太推薦!  将棋が強くなる基本3手詰

藤井聡太推薦! 将棋が強くなる基本3手詰

本書の概要

先月末に発売されたばかりの詰将棋本で、日本将棋連盟が発行しています。
藤井聡太七段の写真が目印です!

同シリーズで今年の1月に「1手詰本」も出ていますが、それの続編の「3手詰本」になります。

因みに本書の詰将棋の出題者は、柳田明(やなぎだあきら)氏で、全日本詰将棋連盟会長、詰将棋解答選手権実行委員長と凄い肩書きをたくさん持っておられる方で、詰将棋作家としても有名だそうです。

要するに、適当な問題を寄せ集めたとか素人が作ったとかいうわけではないので、クオリティ面で心配は無用だということです。


本書の構成

まず、本書から目次を引用します。

藤井聡太推薦! 将棋が強くなる基本3手詰 目次
第1章 3手詰へのステップアップ
第2章 詰将棋を解くコツ
第3章 基本例題3手詰 詰手筋のパターン別50題
第4章 基本3手詰140題
第5章 卒業問題10題

まず第1章~第2章で、基本的な3手詰の考え方や手筋(退路封鎖など)について触れた後、実際に問題に入る構成になっています。

また問題についても工夫が施されていて、第3章で「どの詰手筋を使う問題か」を明示した上で各詰手筋ごと最低2問ずつ計50問解かせて手筋の意味を理解させた後に、第4章~第5章でノーヒント(手筋ランダム)で実践を積ませる仕様になっています。

要するに、

インプット(第1章・第2章) → アウトプット(第3章) → 定着の確認(第4章・第5章)

といった感じで非常に理に適った構成になっていると思います。

問題は1ページにつき2問ずつ掲載されており、裏に答えと解説が載っています。
よくありがちな答えの裏透けはしっかりと対策されており、ライトに透かして見たりしない限りは全く見えないです。


感想・評価

本書は構成からも分かる通り初心者を意識した問題集であることが予測できますが、実際に解いてみて難易度もかなり易しく、詰将棋が苦手な人や初めて詰将棋に触れる人をターゲットにした本であると確信しました。

凝った問題はほぼないです。
レベル的には『1・3・5手実践型詰将棋』の3手詰と同じ程度でしょうか。

ただ簡単とは言え、各詰手筋が明瞭に分類されていて視覚的にも分かりやすい上、基本的な詰手筋は網羅している点はポイント高いです。

何より第3章は「どの詰手筋を使うか」の表記以外はノーヒントの構成をとっていますが、余計なヒントを出したりしていない点が結果的にうまく手筋を意識できる構成になっていると思います。

第4章・第5章はノーヒントですが、問題レベルが全体的に高くないため露骨なヒントを出す必要もなく、うまい具合に仕上がっています。

ヒントの出し方や掲載の有無によってはそれがストレスとなり本の評価に影響すると思っていますが、本書は非常にその点バランスが取れていて個人的に高評価です。

また簡単だから解いていてつまらないといった印象もなく、気持ちよく解ききることができました。


1手詰からステップアップして初めて3手詰に挑戦する人に、強くおすすめしたい詰将棋です。

とりあえず解いて体で(?)覚えたいという人は『3手詰ハンドブック』や『1・3・5手実戦型詰将棋』も良いと思います。
実際解きまくっていたら、手筋は何となく身につく部分もあるのも事実です。


因みに本書の私の正答率は、下記の通りでした。

◎第3章 基本例題3手詰:100%(50/50問)
◎第4章 基本3手詰  : 97%(137/140問)
◎第5章 卒業問題   :100%(10/10問)
◎全問:98%(197/200問)


ひと目の問題が多かったですが、一部読み間違えてしまった問題もありました。
また卒業問題は手応えのある3手詰を揃えたと記載がありましたが、難易度的には他の問題と変わらなかったように思います。
(唯一最後の10問目は少し考えましたが)


おわりに

初めて3手詰に挑む人に私が一冊オススメするとしたら、今は本書を選択すると思います。

有名なハンドブックシリーズも良いのですが、見開き4問という構成上最初は中々ページを捲ることができないので、それで嫌にならないか少し心配だからです。

最初は3手詰でも結構きつく感じると思うので、見開きごとの掲載問題数が少なく次々ページを捲っていける問題集の方が爽快感を感じられて解く意欲が湧くのではないかなと思うんですよね。

杞憂かもしれないですけど。
 
正直3手詰本は将棋を続けるなら複数冊持ってて損はないので、直感で選んでも問題ないと思います。