苦しんで強くなる将棋ブログ

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才能皆無だが、試行錯誤して棋力向上を目指す。日常ネタもたまに…

『5手詰将棋』レビュー

この一ヶ月の間ちょくちょく取り組んでいた詰将棋本が解き終わりましたので書評を書いてみたいと思います。

昔少し本書に取り組んだ事がありましたが、全て通した経験がなかったので、今回全問解き直してみました。



5手詰将棋:テーマは「実戦! 」 (将棋パワーアップシリーズ)

5手詰将棋:テーマは「実戦! 」 (将棋パワーアップシリーズ)


本書の構成

2009年に出版された高橋道雄九段の詰将棋集です。
実戦型ばかりの5手詰を202題収録しています。

本書は実戦型ということもありパズル的要素はほとんどないので、5手としては難易度も低く、5手詰入門書として薦める人も多いです。
段位者の方は実戦前のウォーミングアップに活用されるという話も聞きますし、言わずと知れた名著です。



実際解いてみた感想

実戦型が多いので、「読みのトレーニングだけでなく詰み形を学ぶ訓練にもなり、一石二鳥な本」というのが率直な感想です。

囲いを本当に崩した後のような問題図が多く、実戦型を売りにした詰将棋としては完成度がかなり高いと思います。


ただし、パズル的詰将棋によくある、

「いや待てよ……、あ、まさか…………うわあああァァァ詰んだァァァァァ超気持ちいいいいィィィィィィィ───────( ゚д゚)脳汁ドパドパ」

みたいな効果はあまり望めません。


実戦型なので、見るからに難しそうで解く気が失せるような問題はなく、実際に私はそこまでストレスを感じることなく読み進めることができました。

ただ、私レベルの棋力では簡単すぎるということはなく、全体的には結構な手応えを感じました。



今回解いた結果

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以前レビューした『爽快!3手詰トレーニング200 (マイナビ将棋文庫)』が解答時間が平均2分13秒でほぼ同タイムだったのですが、正解率が圧倒的に『5手詰将棋』の方が高いです。
ギブアップした問題も本書は第76問と第163問の2問だけでした。

また、タイム計測はしていませんが、半年ほど前に解いた『5手詰ハンドブック〈2〉』よりも明らかに簡単でした。
爽快!3手詰トレーニング200 (マイナビ将棋文庫)』が比較的難しい3手詰本というのを抜きにしても、本書はかなり簡単な5手詰本だと言えそうです。


少なくとも本書をサラサラ解けるようにならなければ、5手詰卒業は語れないでしょう。


※2018/5/22追記
本書はかなり簡単な5手詰本と書きましたが、より楽に解ける本を見つけました。
本書が難しくて嫌になってしまう人はコチラを。

gerren.hatenablog.com



余詰めの存在

解いていく中で、1問余詰め(出題ミス)を発見しました。

第165問です。

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解答は
「▲3ニ銀△同金▲4三龍△同金▲3ニ金まで」
となっていますが、

「▲5ニ銀△同歩▲3ニ金△5一玉▲4ニ金△6一玉▲6ニ金まで」
でも詰みます。駒もピッタリです。

因みに、変化として
6手目「△同角ならば以下▲5ニ桂成まで(駒余り)」
4手目「△同金ならば以下▲5ニ龍△3一玉▲3ニ龍まで(駒余り)」
2手目「△3一玉ならば以下▲4ニ龍△同玉(△同角は▲3ニ金まで)▲4三金△3一玉▲3ニ金まで(駒余り)」
2手目「△同金ならば以下▲3ニ金まで」


いずれにしても詰みます。
何度も検討したのでおそらく間違っていないかと。




因みに他にも余詰めがある問題があるのかなと少し調べたら、以下のブログ様でも一問余詰めのある問題を発見されていました。

http://rikeda.hatenablog.com/entry/2014/09/03/122330

第171問です。

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解答は
「▲31角打△3三玉▲3ニ飛△同玉▲4ニ角上成まで」
となっていますが、

「▲31角打△3三玉▲4ニ角引成△2ニ玉▲3ニ飛△1三玉▲3五角成△2四香▲3一馬まで」
でも詰むそうです。
解いてる最中は気づきませんでしたが、確かに詰みますね。



他にもあるかもしれません。
探してみるのも楽しそうです。

本来は余詰めは、現代の詰将棋のルールでは出題ミスなので詰将棋の作品としては認められません。
ただ、本書に限っては「実際に遭遇しうる囲いを崩したような形」に近づけるためにあえて高橋先生がそのまま載せた可能性が高いように思えます。

手数が明示されていれば、解く分には問題ないので。



最後に。5手詰本初挑戦に本書を検討している方へ。

3手詰からステップアップする際に選択する本として、確かに候補に上がるくらい素晴らしい本だと思います。
難易度もマイルドです。

ただ、始めて5手詰本に取り組むのは時間もエネルギーもかなり必要だということを念頭に置いて挑戦してください。
本書も同様です。

5手詰としては簡単とはいえ、3手詰と5手詰は一般的に難易度にかなり開きがあるように思います。
最初はみんな苦しいですし、最初の数問で何度も考え込んでしまうと嫌になってくるかもしれません。

でもはじめは解けなくて普通ですから大丈夫。
気にせず、答えを見て進めていきましょう。

とりあえず耐えて一冊仕上げてください。
始める前よりかなり見えるようになってるハズですから。