苦しんで強くなる将棋ブログ

苦しんで強くなる将棋ブログ

才能皆無だが、試行錯誤して棋力向上を目指す。日常ネタもたまに…

『3・5・7手実戦型詰将棋』レビュー

昔1周してそのままだったのですが、このたび1年半ぶりに解き直してみました。
せっかくなので当時と今とでそれぞれ解いた際の感想を残しておきますので、参考にしていただければと思います。


本書の概要

以前紹介した『1・3・5手実戦型詰将棋』の続編にあたる本です。
 
↓こちら
gerren.hatenablog.com


シリーズ間で3手と5手がダブっていますが、同じ手数でも本書と前著の間には明確な難易度の差があります。
その点でしっかりと差別化できていると言って良いでしょう。

 
問題の収録数については以下の通りで、全160問になっています。
◎3手詰:60問
◎5手詰:60問
◎7手詰:40問

タイトルの通り、実践型と呼んで差し支えない問題ばかりです。


・1ページにつき問題1問
・答えの裏透け対策は問題なし
・ヒントあり
・コラムあり
・解いた早さによって棋力を五段階評価で各設問ごと判定


評価・感想

前著は後手側の変化が少なく詰将棋的な面白さは感じにくい印象でしたが(ターゲットが初級者対象なので)、本書は基本手筋が中心とはいえ変化も多く、少なくともウォーズ1級までであれば十分解きごたえを感じることができると思います。

サブタイトルにも「級から段へ」とありますし、中級~初段未満の棋力の方がメインターゲットになるよう難易度調整が行われていると感じます。

初級者だと少し厳しいかもしれませんが、例えば『5手詰ハンドブック〈2〉』を苦しみながらでも読み進めることができるなら7手詰も十分挑戦できるレベルの構成です。
まさに私がそうだったので。


因みに私が以前解いた際は7手詰がほぼ初挑戦だったので、7手とはいえ自分にとっては長手数でかなり覚悟して臨みました。
結果として苦しみながらではありますが半分以上の問題で地力で解を導くことができ、大きな達成感を得ることができました。
この経験が今7手以上に挑戦する上での原動力になっているのは確かです。


ただ今解き直してみると、簡単な問題ばかりというわけでもないですね。
3手はともかく、5手や7手は結構手応えを感じる問題がポツポツありました。(少なくとも級位者である私には)

特に7手詰は変化が多かったり初手が浮かびにくい問題も多く、改めて非常に勉強になりました。


多分5手詰は『5手詰ハンドブック〈2〉』、7手詰は『7手詰ハンドブック』と比較して同等~やや簡単になっている程度の難易度かと思います。


今回私が実際に解いた上での正答率は以下の通りでした。
◎3手詰: 96%(58/60)
◎5手詰:100%(60/60)
◎7手詰: 92%(37/40)


7手詰は以前紹介した『ステップアップ詰将棋3手・5手・7手』に比べて格段に正答率が高いので、7手詰としては簡単な問題が揃っている本であるのは確かだと言えるでしょう。
思ったより難しく感じたのは私の単なる力不足が大きいかもしれません。


終わりに

詰将棋の手数を増やしていく上で一番苦労するのが5手から7手への移行ですよね。
(人によっては3手から5手かもしれません)

簡単な問題でも7手詰の解答を頭に浮かべることができるようになると、少しずつ詰将棋への苦手意識がなくなってきます。
私の脳内盤は不鮮明でほぼ仕事していませんが、3手から段階を踏んで問題集を解き続け、今は一桁の詰将棋なら十分考えることができるようになりました。


3手や5手が苦しい人や初心者の方は、前著の『1・3・5手実戦型詰将棋』の方が俄然オススメです。

7手初挑戦を考えている方は本書でも良いですし、『7手詰将棋:実戦の勝率が上がる202問 (将棋パワーアップシリーズ)』なども実践型で簡単な問題が揃っているそうなので(何より問題数が多い)好みで選んで良いと思います。


昔は詰将棋は大嫌いでしたが、最近は楽しんでやってます。
本将棋のように敗けが続いて落ち込んだりといったこともなく、常に落ち着いて取り組める点も魅力だと思いますね。

『1手詰ハンドブック』レビュー&考察

言わずと知れた詰将棋本のロングセラーであるハンドブックシリーズから1手詰ハンドブックを紹介します。


1手詰ハンドブック

1手詰ハンドブック

本書の概要

詰将棋本と言えばコレ!と言えるくらい今では有名になったハンドブックシリーズです。
2012年発売の本書ですが実際に売れているようで、私は去年新品で購入したのですが2017年7月28日初版第19刷発行となっていました。

将棋本でこれだけ売れるのは凄いですね。
この売上げが信頼の証とも言えるでしょう。

問題数は300問(コラムを入れると301問)でボリュームたっぷり。

見開き4問の構成に関しては他のハンドブックシリーズと同じです。

他と違う点としては、やはり1手詰なので初心者を意識してのことだと思うのですが、駒の動かし方や将棋のルール(反則など)、1手詰のルール等について詳しく冒頭で触れた後に問題に入っていく構成をとっています。
(他のシリーズでは簡略化されている)

また問題の出題についても下記のような工夫が施されています。

◎最初の80問はテーマごと数問に渡って固めて出題
 例:金の王手、開き王手など
◎残りの220問はランダムで出題

ヒントはありません。


評価・感想

去年購入して1周読んで放置していたのですが、今回再度読んでみました。実は最初読んだ時と今とで読了後の感想が違ったので、参考までにどちらも書いておきたいと思います。

1周目読んでの感想(去年)

1手詰は重要だ!馬鹿にしてはいけない!といったことをどこぞで耳にして、試しに『1手詰ハンドブック』を入手してみました。
解き始めたところ、あまりに簡単で拍子抜けし、正直これをいくら解いたところで上達しないな~と感じたのを覚えています。

ただそれでも300問解ききるのは意外にストレスで、最後の方はイライラしながら解いていました。

確か途中3問くらい開き王手の問題等で間違えました。
パッパパッパと解いていましたが、うっかりミスなのかどうなのか。

因みに当時は『5手詰ハンドブックⅡ』に大苦戦、『3手詰ハンドブック』も後半は苦戦していた覚えがあります。

2周目読んでの感想(現在)

この1年で5手詰以上はともかく、3手詰についてはそれなりに難しいものも含めてかなりの問題数を解いてきました。

その上で解いてみて、やはり簡単だな~という感想は同じですが、「このパターンか」という意識がより強くなったと思います。

あ、これ3手詰の問題でこないだ間違えた形だな」とか。

図面を見ると持ち駒を見ずとも持ち駒の有無が感覚的に分かりますし、必要なところに駒がスッと入るイメージで解いていけました。

また、最後までストレスなく解ききることができました。
(これについては、詰将棋を解くことが習慣化した結果なだけかもしれませんが)

なお正答率については、
100%(300/300問)でした。

いつもどこかでミスをしてしまうので、1手詰とはいえ今回の結果は素直に嬉しかったです。


1手詰は上達に必要なのか【考察】

実力者の場合

それなりに将棋が強い人でも1手詰を解くことが重要だとする人達の主張としては、詰み形をインプット」することが短手数の詰将棋を解く上では重要で、それが実践にも繋がるから、ということだと思います。(1手詰は詰将棋の中では最も詰み形に近い)

ただ「1手詰なんて簡単じゃ~ん、解いたところで強くならないよ」という考えが一般的だと思いますし、個人的にこの見解は概ね正しいと思います。

仮に3手詰がひと目でスラスラ解けるなら、1手詰で得られる恩恵は既に持っていると思って良いでしょう。
また、仮にスラスラ解けずとも3手詰を通して1手詰も解いているわけですから、詰み形を覚えるトレーニングと平行して読みの訓練もできて効率が良いと考える見方もあります。

ただ今回私が1手詰ハンドブックを解いてみて思ったのは、1手詰の中にも他の問題に比べて数秒答えが頭に浮かぶのが遅れる問題があったことです。

おそらくこれは私が無意識で苦手としている詰み形であって、これが3手詰となるとさらに解答に辿り着くまでのタイムラグが大きくなることが予想されます。
さらに7手詰ともなると頭に浮かぶ盤面があやふやなのも相俟って、最後の一手を発見するのに非常に苦労することになるでしょう。

苦手な詰み形の発見とその克服のため、たまにでも1手詰を一気に解いてみることも上達の上で意義があるのではないかと考えます。
(3手詰がひと目でスラスラ解ける人は、3手詰で弱点を探した方が効率が良いかもしれません)


初心者の場合

1手詰は初心者が駒の効きを覚えた後それが身になっているか確認する良い手段だと思います。

また将棋の最終目標である王様を捕まえる感覚を同時に養うことができるので、初心者には上達の上で非常に有用だと言えるでしょう。

また初心者は当然として3手詰以上が難しいと感じる人も、まず1手詰を数秒で解けるようにしてからでも本格的に3手詰に取り組むのは遅くないと思います。

少なくとも1手詰で苦労しているうちは、3手詰は解いていて全く解けず嫌になってしまう可能性が高いので、1手詰に集中して取り組みましょう。

そして自信がついたら3手詰に挑戦してみましょう。
最初は苦しいと思いますが、誰でも同じなので答えを見ながらページを捲っていくことをおすすめします。

因みに私は将棋を始めた頃正直1手詰を馬鹿にしていたので、3手詰から入りました。
それでも詰将棋が少しずつ解けるようにはなりましたが、効率が良かったかというと少し疑問が残ります。

現在は、素直に段階を踏んでおくのが吉だったかと思っています。


終わりに

1手詰は苦手な詰み形の発見・克服に有用であるとともに、いずれ短手数の詰将棋をひと目で解けるようにするための基礎を作るものだと思います。

今回自分なりに新たな発見があり、非常に有意義でした。

もちろん1手詰ばかり解いていては上達しないのは火を見るより明らかですが、たまにこうして工夫して活用していきたいと思います。

『羽生善治の将棋の教科書』レビュー

こんにちは!
今回は将棋の入門本の中でも有名な一冊を紹介していきたいと思います。
数年前に二周ほど読んでそのままだったのですが、今回レビューのために読み直してみました。



羽生善治の将棋の教科書

羽生善治の将棋の教科書

【対象棋力:ウォーズ3級~初段未満】

本書の概要

本書は「羽生善治の将棋の教科書シリーズ」の内、最初の一冊を飾る本です。
このシリーズは羽生先生「監修」ではなく、実際に羽生先生が書かれているところがポイントです。
羽生先生に直に教わっているような気分になれますね。

同シリーズでは他に、下記の3冊があります。
 
羽生善治の定跡の教科書
羽生善治の手筋の教科書
羽生善治の将棋の教科書・実戦篇――戦いの絶対感覚


この内、戦いの絶対感覚については昔の書籍(羽生善治の戦いの絶対感覚 (最強将棋塾))を復刊したもので、他の本が級位者向けの本であるからといって同じように購入すると難解すぎて泣きをみるので注意しましょう。(高段者向けらしい)


話戻って本書の目次(小タイトル除く)を引用します。

羽生善治の将棋の教科書 目次

はじめに
本書を読み始める前に
第1章 終盤戦の心得と指し方
第2章 詰将棋と必死
第3章 序盤戦の心得と指し方
第4章 中盤戦の心得と指し方
第5章 駒落ち将棋

全般的に将棋の「考え方」について書かれている印象です。

終盤戦を序盤・中盤戦よりも先に書いているのは、将棋の最終目的である玉を詰ませる感覚を早くつかめるのではないか、という羽生先生の工夫だそうです。

また全ての漢字にふりがなを振ってありますが、どちらかと言えば大人向けに書かれた文章であるように感じます。

大人であっても、将棋独特の単語の読みが分からないとモヤッとするので、ふりがなが振っていて助かる場面もあると思います。
例:下手(しもて×したて○)上手(かみて×うわて○)


内容について

羽生先生曰く、「内容をすべて理解されたら初段くらいの力が付いているのではと思います」とのことです。

終盤戦&詰将棋と必死

詰将棋の功能などについて触れた後、1手詰から始まり、3手詰、5手詰、1手必死、3手必死とレベルが上がっていきます。
途中詰将棋や必死を考えるにあたり重要な手筋等にも触れています。

内容は簡単な物が多いですが、必死問題では迷い解答しきれなかったものもありました。

分からなかった場合も解説が丁寧なので読み進める上では問題ないと思います。
ただ詰将棋や必死の掲載問題数は少ないので、もっと解きたい場合には別に本を購入する必要があるでしょう。

序盤戦

序盤戦における考え方や駒組みの良い形、悪い形などについて触れた後、

居飛車四間飛車
・相矢倉戦
横歩取り

の3つの定跡をそれぞれ学んでいく形になっています。

説明が丁寧で、手筋や一手の意味についても逐次触れているので、普段指さない戦法であってもかなり身になる部分があると思います。

盤と駒を用意して読み進めましょう。
また扱うのは定跡ですが、あくまでも定跡を通して考え方を学ぶといったスタンスです。

中盤戦

中盤戦の考え方などについて触れた後、序盤戦の章で学んだ定跡の続き(中盤)について羽生先生の解説付きで学んでいきます。

玉の近くにいる駒は価値が高いなど言われなければ意識しない考え方も多々あるので、ウォーズ初段未満の棋力であれば何かしら発見や忘れていた心得の再確認ができる部分があると思います。
昔読んだ際はいまいちピンとこなかった部分も時間を置いて読むと自然と理解できる部分が多くなっているように感じました。

駒落ち

この章だけは今回初めて読みました。
駒落ちを指す機会がなかったので)

将棋道場に通っている人は昇級・昇段のために必然的に駒落ちを勉強することになるとは思いますが、この本では、

・六枚落ち
・二枚落ち
・飛香落ち
・飛落ち
・角落ち

の定跡についてそれぞれ軽く扱っています。(角落ちのみ二通り)

詳しくは他の本を参考にする必要があると思いますが、上手の弱点を考慮した上でどう指すか考えて指し手を選んでいく点は、平手の将棋に通ずるものがあるように感じました。

駒落ち将棋を通して学べるものが多くあると良く耳にしますが、その雰囲気程度は少なくとも感じることができる内容になっています。


評価・感想

分類的には本書は入門本になると思うのですが、将棋の根底の考え方について詳しく書かれている一方で、本当の初心者では取っ付きにくい部分も多いように感じます。

本書は初心者を脱出した後それなりに実戦経験を積んだ上で、序盤・中盤・終盤の考え方を確立するための低級~中級者向けの本であると言えるでしょう。

そういう意味で本書はウォーズで3級(人によっては4級)程度になってから読み始める方が良いかと感じました。
ただ内容については将棋の指し手を進める上での考え方が分かる間違いなく良い本です。

単純に定跡が知りたい場合などは、同シリーズの『羽生善治の定跡の教科書』など他の本を選択しましょう。

本シリーズはそれぞれジャンルがバラバラなので、無理に揃える必要はないことも付け加えておきます。


終わりに

同シリーズの『羽生善治の将棋の教科書・実戦篇――戦いの絶対感覚』は復刊だということを知らず級位者向けだと勘違いして購入し、未だに本棚の肥やしになってます。
他の教科書シリーズを読み終わってそのままの勢いで意気込んで購入し結果本棚に飾ったままの同士も多いのではないでしょうか。

トッププロの大局観に触れることができる名著らしいのですが、当時の自分には難しすぎたんですよね。

悔しいので、いずれ読んでみたいとは常々思っています。

『藤井聡太推薦! 将棋が強くなる基本3手詰』レビュー

きままに古い新しい関係なく読み終わった本について勝手な解釈で書き連ねるのが常なのですが、今回は珍しく発売して間もない(?)と言っても良い書籍の紹介です。



藤井聡太推薦!  将棋が強くなる基本3手詰

藤井聡太推薦! 将棋が強くなる基本3手詰

本書の概要

先月末に発売されたばかりの詰将棋本で、日本将棋連盟が発行しています。
藤井聡太七段の写真が目印です!

同シリーズで今年の1月に「1手詰本」も出ていますが、それの続編の「3手詰本」になります。

因みに本書の詰将棋の出題者は、柳田明(やなぎだあきら)氏で、全日本詰将棋連盟会長、詰将棋解答選手権実行委員長と凄い肩書きをたくさん持っておられる方で、詰将棋作家としても有名だそうです。

要するに、適当な問題を寄せ集めたとか素人が作ったとかいうわけではないので、クオリティ面で心配は無用だということです。


本書の構成

まず、本書から目次を引用します。

藤井聡太推薦! 将棋が強くなる基本3手詰 目次
第1章 3手詰へのステップアップ
第2章 詰将棋を解くコツ
第3章 基本例題3手詰 詰手筋のパターン別50題
第4章 基本3手詰140題
第5章 卒業問題10題

まず第1章~第2章で、基本的な3手詰の考え方や手筋(退路封鎖など)について触れた後、実際に問題に入る構成になっています。

また問題についても工夫が施されていて、第3章で「どの詰手筋を使う問題か」を明示した上で各詰手筋ごと最低2問ずつ計50問解かせて手筋の意味を理解させた後に、第4章~第5章でノーヒント(手筋ランダム)で実践を積ませる仕様になっています。

要するに、

インプット(第1章・第2章) → アウトプット(第3章) → 定着の確認(第4章・第5章)

といった感じで非常に理に適った構成になっていると思います。

問題は1ページにつき2問ずつ掲載されており、裏に答えと解説が載っています。
よくありがちな答えの裏透けはしっかりと対策されており、ライトに透かして見たりしない限りは全く見えないです。


感想・評価

本書は構成からも分かる通り初心者を意識した問題集であることが予測できますが、実際に解いてみて難易度もかなり易しく、詰将棋が苦手な人や初めて詰将棋に触れる人をターゲットにした本であると確信しました。

凝った問題はほぼないです。
レベル的には『1・3・5手実践型詰将棋』の3手詰と同じ程度でしょうか。

ただ簡単とは言え、各詰手筋が明瞭に分類されていて視覚的にも分かりやすい上、基本的な詰手筋は網羅している点はポイント高いです。

何より第3章は「どの詰手筋を使うか」の表記以外はノーヒントの構成をとっていますが、余計なヒントを出したりしていない点が結果的にうまく手筋を意識できる構成になっていると思います。

第4章・第5章はノーヒントですが、問題レベルが全体的に高くないため露骨なヒントを出す必要もなく、うまい具合に仕上がっています。

ヒントの出し方や掲載の有無によってはそれがストレスとなり本の評価に影響すると思っていますが、本書は非常にその点バランスが取れていて個人的に高評価です。

また簡単だから解いていてつまらないといった印象もなく、気持ちよく解ききることができました。


1手詰からステップアップして初めて3手詰に挑戦する人に、強くおすすめしたい詰将棋です。

とりあえず解いて体で(?)覚えたいという人は『3手詰ハンドブック』や『1・3・5手実戦型詰将棋』も良いと思います。
実際解きまくっていたら、手筋は何となく身につく部分もあるのも事実です。


因みに本書の私の正答率は、下記の通りでした。

◎第3章 基本例題3手詰:100%(50/50問)
◎第4章 基本3手詰  : 97%(137/140問)
◎第5章 卒業問題   :100%(10/10問)
◎全問:98%(197/200問)


ひと目の問題が多かったですが、一部読み間違えてしまった問題もありました。
また卒業問題は手応えのある3手詰を揃えたと記載がありましたが、難易度的には他の問題と変わらなかったように思います。
(唯一最後の10問目は少し考えましたが)


おわりに

初めて3手詰に挑む人に私が一冊オススメするとしたら、今は本書を選択すると思います。

有名なハンドブックシリーズも良いのですが、見開き4問という構成上最初は中々ページを捲ることができないので、それで嫌にならないか少し心配だからです。

最初は3手詰でも結構きつく感じると思うので、見開きごとの掲載問題数が少なく次々ページを捲っていける問題集の方が爽快感を感じられて解く意欲が湧くのではないかなと思うんですよね。

杞憂かもしれないですけど。
 
正直3手詰本は将棋を続けるなら複数冊持ってて損はないので、直感で選んでも問題ないと思います。

『プロの定跡最前線 飯島流相掛かり引き角戦法』レビュー

少し前の本ですが、気になって読んだ本がありますので紹介したいと思います。
飯島先生が書かれた相掛かり定跡に関する本です。



本書の概要

将棋世界2015年10月号付録の冊子です。
紙媒体のものは現在では入手困難ですが、電子書籍であればKindleで格安で手に入ります。
 
問題は次の一手形式で全39問。

 
飯島流引き角戦法と言えば、対振り飛車の戦法というイメージですが、本書は「相掛かり」がテーマです。
よって同じ飯島流引き角戦法でも全く毛色が違ったものになります。
 
ただ飯島流引き角を使う人には初手2六歩という特性上居飛車党の人が多いと思うので、相掛かりの考え方の幅を広げる意味でも読んでみて損はないと思います。


読むに至ったきっかけ

ここ数ヶ月極限早繰り銀を勉強していましたが、相手が振り飛車党であったり角換わりチックな将棋が嫌いな人だと角道を閉じられ拒否される確率が高くて、成果があまり出ていませんでした。

よって方向性を変えて、後手を持った場合のレパートリーを広げようと最近飯島流引き角戦法をコソコソと勉強していました。
極限早繰り銀はあくまでも先手の戦法ですからね。被らなくていいかなと。

本書はその流れで偶然存在を知った次第です。
相掛かりについて軽く勉強したことがあったことに加え、対振り飛車の場合とどう違うのか興味が湧き、購入しました。


読んだ感想

まず言いたいのは、振り飛車の一般的な飯島流引き角戦法は居飛車側も左美濃穴熊に囲って安心して戦えるのが魅力ですが、本戦法はその逆をいきます(笑)

また先手番の戦法です。

相掛かりという戦型からも分かるように角の頭を狙うように敵が攻めてくるので序盤から非常にスリリングで、引き角にしても矢倉戦法のように固めた状態で引くわけではないので攻撃力がある代わりに防御面はイマイチで、一歩間違えると一気に敗勢になるような変化もありました。


参考までに本書の局面図を一部引用します。
(本書P17 NO.8の問題図から引用)

f:id:gerren:20181122182104p:plain

後手が△7四歩と指した局面です。
先手側としては7五の銀に敵の歩が当たっており、▲6六銀や▲8六銀と躱す手がまず思い付きます。
一方で銀を無視して▲2四歩と攻めに転じる手や▲4六角のような手も見え隠れします。

ただ選択肢が多いのは後手側も同じで、△8六歩▲同歩△同銀のような手や△7六銀▲同歩△9九角成のような攻め筋が常にあり、機を見てそれを狙ってきます。


終始こういった不安定な感じで、タイミングや選択肢を間違うと一気に崩壊するので、正直かなり指してて恐い戦法といった印象でした。
(あくまでも個人の感想ですが、玄人向けの作戦な気がします。下手打つと相手の棒銀食らって死にます)

慎重に駒組みを進める必要があるので、持ち時間の極端に短い将棋で採用するのは慣れない内は難しいかもしれません。

ただ一方で、普段の相掛かりの流れにマンネリを感じてる人は指してみると面白いでしょう。
本戦法を知らない人も多いと思うので、こちらの狙いに気付かず一方的に攻めきることもできるかもしれません。
相手の出方によっては中飛車に振って5筋から攻めたり、基本居玉で戦うことが多いですが右玉に構え直したり色々柔軟に指せるところも魅力です。

問題数が全39問と少なくサラッと読めるにも拘わらず、本戦法の基本的な狙いも分かりやすく説明されていて、その点も素晴らしかったです。


終わりに

色々書きましたが、相掛かりってどう転んでも結局は難しい感じがします。
正直私は苦手です。

以前『よくわかる相掛かり』という本で少し相掛かりを勉強しましたが、相掛かりは相手と呼吸が合わないと実現しない戦型であることに加え、飛車先の歩を交換した後どこに飛車を引くかでもガラッと戦い方が変わりますし、そもそも飛車先の歩を交換しない相掛かり早繰り銀のような変化もあるので、一通り抑えるだけでも大変です。

なら楽に学べる戦法があるのかといったら、思い付かないですけど。

ただ定跡の勉強をするにしても、それが苦痛になったら趣味として将棋をしている意味がなくなるので、気分が乗ったときだけ定跡書を開くようにしています。

極限早繰り銀や飯島流引き角戦法についても、自分なりに形になったらいつかレビューしてみたいですね。

『脳を刺激する新感覚パズル 目隠し詰将棋(初心者向け)』レビュー

以前kindle電子書籍デビューをして以来、将棋に限らずちょくちょく電子で本を購入し読んできたのですが、非常に空き時間が活用出来ている実感があります。

本は紙に限ると思っていましたが、完全に偏見だったようです。
これからはできるだけ、電子で買えるものは電子での購入を検討していきたいと思います。

話変わって、今回はkindleで売られていた目隠し詰将棋なるもののレビューです。



本書の概要

著者である伊藤慎さんがkindleで出版されている「目隠し詰将棋」シリーズの中で、最も簡単だと思われる本です。

「初心者向け」とタイトルにも記載されています。
正直どれを買おうか迷いましたが、解けないと辛いので、一番簡単なものを取り敢えず選んでみました。

問題数は50問
手数の記載はありませんが、1手~3手詰で構成されています。(ほとんど1手詰)

普通の詰将棋と違って問題図がない代りに彼我の駒の配置と持ち駒が文字で記載されているので、そこから問題図をイメージして脳内で解いていきます。

参考までに例題を載っけると、以下のような感じです。

【玉方】
1二玉 2三金

【攻め方】
2一金 3一馬

【持ち駒】



実際に読んだ感想

仮に問題図が掲載されていれば、ひと目で解ける問題ばかりですが、脳内で解くと思った以上に難易度があがるなーといった印象。

問題図を頭に並べる過程が一番難しい。
私は脳内盤がボヤーッとしてて、とてもじゃないが目隠し将棋なんてできませんが、配置駒の数が少ないので、これなら何とかできるレベルでした。
ただ心なしか最後の方は、慣れてきたせいか問題図をイメージするのが容易になっていたような気がします。

普段短手数の詰将棋を解く際にはあまり使わない能力である「脳内でイメージして解く」ことを必然的に求められるので、その部分を特化してトレーニングしたい場合には良いかもしれません。
詰将棋を楽しむ本というよりは、文字を脳内イメージに変換するのを楽しむ本って感じ。

いずれにせよ、私は頭を使っている実感があってとても楽しかったです。


注意点としては、脳内盤が鮮明な人はもっと難易度が高くないと面白くないだろうことが挙げられます。
同シリーズで上級者向けのものもあるので、興味がある人はそちらを読むことをオススメします。


因みに本書の私の正答率は、98%(49/50問)でした。
初心者向けというだけあって、何だかんだ言って難易度は低めですね。


最後に

目隠し詰将棋ってアイデアとしてはとても面白いと思います。

実は他の詰将棋本に載っているような問題でも目隠し詰将棋に変換して遊ぶことは可能なんですよね。
ただ配置駒が多くなったり、角が遠くから効いてくるような問題はイメージしづらく難易度が高くなるので注意が必要です。

個人的にとっても楽しめた一冊でした。
缶コーヒー一本我慢すれば読める値段なのもグッド。

こういったトレーニングを継続すれば、私のような者でも脳内盤が少しは鮮明になるんでしょうか。
脳に鮮明な像を描ける能力というのは先天的、もしくは若い時代に鍛えることが重要なイメージがありますけど。

同能力が求められる(偏見?)イラストレーターや漫画家は将棋の覚えが少しは早いのかな。

『ステップアップ詰将棋3手・5手・7手』レビュー

ちょくちょく解いていた詰将棋本がやっと解き終わりましたので、レビューしたいと思います。
今回は結構苦労しました(;^_^)



ステップアップ詰将棋3手・5手・7手

ステップアップ詰将棋3手・5手・7手



本書の構成

本書は2016年7月に出版された、青野照市九段著の詰将棋集です。

あとがきに、本書のコンセプトが記載されていたので、そこから一部引用します。

 3手詰なら何とか解けるが、5手詰となると難しく、7手詰はちょっと手が出ない、というファンは、かなり多いのではないだろうか。
 本書はそういう方のために、3手詰で学んだ手筋を5手詰や7手詰に応用すれば、今まで解けなかった問題も解けるようになってほしいという、『ステップアップ』の詰将棋集である。

本のタイトルからも察することができますが、やはり詰将棋が苦手な人を対象にした本のようです。

各問題に、
 
何の手筋を使うか(例:不成の手筋)
問題のタイトル(例:玉を逃がさない桂の動き)
ヒント(例:下段への逃げ道を塞ぐ)

が記載されています。
実質この3要素が全てヒントになり得るので、一般的な詰将棋集と比較して苦手な人を意識しているのは伝わってきます。


また問題数は160問で、その内訳は下記の通りでした。
・3手詰が60問(8級~6級)
・5手詰が55問(5級~2級)
・7手詰が45問(3級~二段)

各問題に時間と解けた場合の参考級位(段位)が設定されています。
よくある形式ですね。
(例:5分で7級、15分で二段など)

またそれとは別に、全160問の正答数の数で8級~二段の実力判定ができるようになっていました。


実際に解いてみた感想

実は将棋を始めて間もない頃に、青野先生の『9級から初段までの基本詰将棋』という本を買って読んだのですが、最初の数ページ以外全く解けずにトラウマになった過去がありまして……(ノД`)
もう、本当初段って異次元だなって絶望したものです。

で、そのトラウマを払拭するための、まさにステップアップとして買ったのが本書です笑。
何だかんだ詰将棋も解いてきたし、これなら簡単そうだし大丈夫だろうと。


でも甘かった……。

3手詰はそんなに苦労しませんでした。むしろ簡単な方だったと思います。
5手詰も後半正答率が悪くなりましたが、まあ解けなくはなかったです。

でもね。
7手詰がボッコボコでした。

全然ページ進まなくて解くのが嫌になってきて、サボって余計解けなくなって、と負の連鎖が起こっちゃったよ。
最後まで何とか解ききったけど、解けなさすぎて自分が嫌になってしまった。

今まで解いてきた7手詰って簡単な問題だったんですね。
いや、この本も苦手な人を対象にした本みたいだから多分簡単な問題をチョイスしているとは思うんですけどね。

簡単な問題も確かにあるのですが、私レベルでは全体的にテクニカルな問題が多いように感じました。
二段クラスの問題は、解答見て素で「マジか……」って言いまくってた。


実際解いた結果

今回は思考時間の上限を15分に設定して解いてみました。
結果は下記の通り。

f:id:gerren:20181026222554p:plain:w400

結果を見ると、やはり3手詰は比較的簡単な問題が揃っていたようですね。
ただ5手詰は全体的に以前レビューした『5手詰将棋』よりも確実に難しかったです。
多分ハンドブックシリーズと同じくらいかな?

7手詰に至っては正答率が悪すぎて、データとして参考にならないレベル( ̄。 ̄;)
ふつーに正答率60%ってヤバくないですか。

取り敢えず今の自分には難しすぎました。
いや~めっちゃ疲れた。


因みに、私の全体を通しての正答数は、「128/160問」で、私はこの本に「実力1級以上」を認定されました。
ただ各設問に設定された時間以内に解け、ということであれば、さらに正答数が下がり認定級位も下がる可能性があります。

評価としては甘くもなく辛くもなく、妥当な線だと思います。


良かった点

一般的な詰将棋の問題集で手筋を学ぶ場合、まず問題を解いてから「あ~、これが××の手筋か」という風に学習していくわけですが、この問題集は「××の手筋の問題です!」と先手をとって教えてくれます。

漠然と解くのではなく、各詰将棋の手筋を意識して解くことになるので、良い効果も期待できそうです。

あとは復習する時に、苦手な手筋の問題だけ絞って解く等、そういった使い方もできる点は良いですよね。

ヒントも多いので、ノーヒントで解くよりは問題の難易度も下がって基本的には解きやすくなっているハズ。


悪かった点

ヒントの内容にやや難あり?

ヒントのせいで、逆に泥沼にはまった問題が何問もありました。
(あくまでも私の場合です)
またヒントがほぼ答えで、一瞬で解けてしまった問題も僅かにありました。

ヒントが多すぎる

わざわざヒントの項目を用意しているのに、問題タイトルにまでそのような要素を入れるのはナンセンスだと感じました。

ヒント項目は問題下に小さく表示されているので隠すことも可能ですが、タイトルのフォントサイズは大きいので嫌でも目に入ります。
ヒントを見たくない人にはこの点はデメリットでしょう。

個人的感想ですが、何の手筋を使うかだけ表記して、他はノーヒントくらいがバランスが良かったのではないかと思います。


詰将棋のタイム計測について思ったこと

今まで詰将棋本のレビュー記事を書く時は、平均タイムと正答率を記載していたのですが、今後はもう止めようかなと考えています

理由としては、正答率が悪くなればなるほど、データとして参考にならなくなるからです。
(全問回答時間と正誤を載せれば別ですが……、それを見る程みんな暇じゃないよね)

例えば今回の結果を例に挙げると、15分考えて解けなくてギブアップした問題もあれば、思考時間1分そこそこで解けたと思って間違っている問題もあるので、平均所要時間が短いからといって、簡単な問題が多いとは言えません。

正答率が高ければ、タイムの方も比較的信頼できるデータになるのですが、現在の自分の実力では厳しそうです。
今後は、基本的に正答率のみお伝えしていこうかなと思っています。

まあ簡単な問題集だったらやるかもしれないですけど。


最後に

新たなトラウマ本が一冊増えてしまいました。

青野先生はあとがきにて、繰返し解くことを推奨されていましたが(最低3周)、もう私のライフはゼロです。
青野先生すみません。

もっと簡単な詰将棋を解いて英気を養ってから戻ってきたいと思います。
解くのが嫌になるよりは、簡単なものを繰り返した方が効果は高いような気がするので。
『9級から初段までの基本詰将棋』に再挑戦するのはいつになるのやら(ーー;)


青野先生の詰将棋本は、そんなに難しくないと聞いていたのですが……。

相性が悪いのか、私がショボいだけなのか。
はい、完全に後者です。


詰将棋本はひたすら周回するのが基本らしいですが、実は何度も周回した本ってハンドブック(黄)くらいなんですよね。

地力がある程度つくまでは、3手、5手、7手それぞれ一冊ずつ固定して周回するのが正解なのでしょうね。
うーん、でもどの本がいいんだろう。簡単な本が良いな。
やっぱりハンドブックシリーズ?