『羽生善治の将棋の教科書』レビュー
こんにちは!
今回は将棋の入門本の中でも有名な一冊を紹介していきたいと思います。
数年前に二周ほど読んでそのままだったのですが、今回レビューのために読み直してみました。
- 作者: 羽生善治
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2012/09/25
- メディア: 単行本
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本書の概要
本書は「羽生善治の将棋の教科書シリーズ」の内、最初の一冊を飾る本です。
このシリーズは羽生先生「監修」ではなく、実際に羽生先生が書かれているところがポイントです。
羽生先生に直に教わっているような気分になれますね。
同シリーズでは他に、下記の3冊があります。
・羽生善治の定跡の教科書
・羽生善治の手筋の教科書
・羽生善治の将棋の教科書・実戦篇――戦いの絶対感覚
この内、戦いの絶対感覚については昔の書籍(羽生善治の戦いの絶対感覚 (最強将棋塾))を復刊したもので、他の本が級位者向けの本であるからといって同じように購入すると難解すぎて泣きをみるので注意しましょう。(高段者向けらしい)
話戻って本書の目次(小タイトル除く)を引用します。
羽生善治の将棋の教科書 目次
はじめに
本書を読み始める前に
第1章 終盤戦の心得と指し方
第2章 詰将棋と必死
第3章 序盤戦の心得と指し方
第4章 中盤戦の心得と指し方
第5章 駒落ち将棋
全般的に将棋の「考え方」について書かれている印象です。
終盤戦を序盤・中盤戦よりも先に書いているのは、将棋の最終目的である玉を詰ませる感覚を早くつかめるのではないか、という羽生先生の工夫だそうです。
また全ての漢字にふりがなを振ってありますが、どちらかと言えば大人向けに書かれた文章であるように感じます。
大人であっても、将棋独特の単語の読みが分からないとモヤッとするので、ふりがなが振っていて助かる場面もあると思います。
例:下手(しもて×したて○)上手(かみて×うわて○)
内容について
羽生先生曰く、「内容をすべて理解されたら初段くらいの力が付いているのではと思います」とのことです。
終盤戦&詰将棋と必死
詰将棋の功能などについて触れた後、1手詰から始まり、3手詰、5手詰、1手必死、3手必死とレベルが上がっていきます。
途中詰将棋や必死を考えるにあたり重要な手筋等にも触れています。
内容は簡単な物が多いですが、必死問題では迷い解答しきれなかったものもありました。
分からなかった場合も解説が丁寧なので読み進める上では問題ないと思います。
ただ詰将棋や必死の掲載問題数は少ないので、もっと解きたい場合には別に本を購入する必要があるでしょう。
序盤戦
序盤戦における考え方や駒組みの良い形、悪い形などについて触れた後、
の3つの定跡をそれぞれ学んでいく形になっています。
説明が丁寧で、手筋や一手の意味についても逐次触れているので、普段指さない戦法であってもかなり身になる部分があると思います。
盤と駒を用意して読み進めましょう。
また扱うのは定跡ですが、あくまでも定跡を通して考え方を学ぶといったスタンスです。
中盤戦
中盤戦の考え方などについて触れた後、序盤戦の章で学んだ定跡の続き(中盤)について羽生先生の解説付きで学んでいきます。
玉の近くにいる駒は価値が高いなど言われなければ意識しない考え方も多々あるので、ウォーズ初段未満の棋力であれば何かしら発見や忘れていた心得の再確認ができる部分があると思います。
昔読んだ際はいまいちピンとこなかった部分も時間を置いて読むと自然と理解できる部分が多くなっているように感じました。
評価・感想
分類的には本書は入門本になると思うのですが、将棋の根底の考え方について詳しく書かれている一方で、本当の初心者では取っ付きにくい部分も多いように感じます。
本書は初心者を脱出した後それなりに実戦経験を積んだ上で、序盤・中盤・終盤の考え方を確立するための低級~中級者向けの本であると言えるでしょう。
そういう意味で本書はウォーズで3級(人によっては4級)程度になってから読み始める方が良いかと感じました。
ただ内容については将棋の指し手を進める上での考え方が分かる間違いなく良い本です。
単純に定跡が知りたい場合などは、同シリーズの『羽生善治の定跡の教科書』など他の本を選択しましょう。
本シリーズはそれぞれジャンルがバラバラなので、無理に揃える必要はないことも付け加えておきます。
終わりに
同シリーズの『羽生善治の将棋の教科書・実戦篇――戦いの絶対感覚』は復刊だということを知らず級位者向けだと勘違いして購入し、未だに本棚の肥やしになってます。
他の教科書シリーズを読み終わってそのままの勢いで意気込んで購入し結果本棚に飾ったままの同士も多いのではないでしょうか。
トッププロの大局観に触れることができる名著らしいのですが、当時の自分には難しすぎたんですよね。
悔しいので、いずれ読んでみたいとは常々思っています。