苦しんで強くなる将棋ブログ

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才能皆無だが、試行錯誤して棋力向上を目指す。日常ネタもたまに…

「棋力向上における詰将棋の意義」についての考察

漠然と詰将棋が棋力向上に意味があると感じているのは確かだが、実際どうか考えてみる。



詰将棋自体は、古くから日本に受け継がれている文化であるが、芸術性という側面もあるため、純粋に棋力向上に最適だから伝わってきた、と決めつけることはできない。
古い詰将棋作品となると、江戸時代の将棋無双や将棋図巧が有名だが、これらはやはり芸術性が高く評価された作品集というイメージがある。

詰むや詰まざるや―将棋無双・将棋図巧 (東洋文庫 282)

詰むや詰まざるや―将棋無双・将棋図巧 (東洋文庫 282)


とはいえ、ある程度将棋に精通している者で、詰将棋に触れたことがない者は、おそらく皆無である。
ほとんどの方がその効果については、実感したことがあるだろう。



だが、
詰将棋なんて今までほとんどやった記憶ないわ。今ウォーズで三段で指してるし、あんなもん解かなくても強くなれる」

こういう人は実際にいる。
嘘をついているのだろうか?



おそらく本当のことを言っていると、私は思う。



私が思う詰将棋を解くことによるメリットは5つある。

①詰み型が頭に入る。(終盤力の強化)
②3手以上の詰将棋だと、必然的に相手と自分の手を交互に読む訓練になり、読みのトレーニングになる。
③読む力がつくことにより、他の勉強(定跡等)の効率が良くなる。
④読む癖がつくことにより、手グセで指さなくなる。(実戦でも考えて指す癖がつく)
⑤脳内将棋盤ができる。



詰将棋は一般的に終盤力の強化のために取り組む、とされているが、読みの力が強化されるため、実際は終盤だけでなく中盤力もかなり向上すると思う。
読む力が強化される、というのが最大のメリットだと思っている。



だがこれらの効果は、よくよく考えてみると、詰将棋以外でも得られるものなのではないか?

①の詰み型を頭に入れるには、実戦で出てきた詰みをソフトで解析しながら確認したり、プロの棋譜の終盤から学んだりすれば事足りる。
また、終盤力の強化としては囲い崩しや必至の方が勝ちに繋がりやすいという側面もある。
(まあ、必至は詰みを読みきる必要があるわけだが)
②も、例えば定跡書を盤駒を用いずに頭の中だけで読んでいけば、かなりのトレーニングになるハズだ。もちろん実戦でも持ち時間が長い将棋で真剣に指せば、同様の効果が得られるだろう。
③④⑤もしかり、他で補える。



実際に詰将棋を全くやらない友人は、定跡書を頭の中でなぞっており、盤駒はよっぽど読み切れない場合以外は使わないと言っていた。
盤駒を使わないことが良いか悪いかはさておき、要するに頭の中で駒を動かすトレーニングは日々行っているわけである。



詰将棋を解かなくても強くなれる、これはおそらく真実だ。(初心者や級位者の頃、多少かじる位の経験はあるにしろ、だ)
詰将棋が嫌いで弱い人もいる一方で、詰将棋が嫌いで強い人もいる。



では詰将棋は意味がないのかというと、そうではない。
人には合う合わないがあるため、詰将棋がどうしても嫌で他の勉強法に取り組んだ人もいれば、そちらの方が性に合っていて敢えてやらなかった者もいるだけの話だ。



よく考えてみて欲しい。
詰将棋がメチャクチャ解けて、将棋が弱い人」がいるだろうか。

……いないんじゃないのか?

そりゃ、世の中には将棋に出会った直後に駒の動きを教えて、さあこのパズルを解いてって言って解いてみせる奴もいるかもだが、それは流石に例外だ。
そういう奴は、将棋を知らなかっただけで、勉強をしたら急激に伸びて「強い人」にすぐなってしまうだろう。



基本的に詰将棋はしっかりやれば、ある一定までは棋力は誰でも向上する。
詰将棋をするかしないか考える必要性があるとすれば、その先の効率を視野にいれた場合ではないだろうか。

高段者同士の対局では、定跡を知らず序盤で差をつけられると逆転が効かなくなるように、詰将棋以外の勉強も大事になってくるので、勉強効率を考える必要があり、場合によっては詰将棋を切る選択技もあるのだろう。
だがこれは高段者やプロレベルの話である。
少なくとも私には関係ない笑



結論としては、詰将棋は解けば解くほど読みの力がアップし、中・終盤に強くなり、さらに勉強効率まで上がるという、少なくとも級位者にとっては夢のような勉強法であるに違いない。



実戦はただ指してるだけでは得られるものはないが、詰将棋はただ解いてるだけで、次に繋がっていく。
スランプに陥っている時こそ、一旦実戦や他の勉強はやめて、黙々と解いてみるのもいいかもしれない。

【強くなるための最短経路⑤】勉強する上での注意点

前回の記事までで、ウォーズ1級まで上がれる方法を書いた。しかしこれには注意点がある。



①実戦(ネット将棋)は、指したい気持ちを抑えて我慢する。(3日に一回程度)

②実戦(ネット将棋)は、持ち時間の長いものしか指さない。(ウォーズなら10分)

③実戦は、手グセで指さない。
 詰将棋を解く時のように、よく相手の応手を考えながら指す。

詰将棋を毎日解く。(少し手強いレベルのものが望ましい)
 読みの力が鍛えられる。



どうしても、初心者や級位で長い間止まっている者は、実戦を指したがる。
勝った、負けたで一喜一憂する。
負けたら、また熱くなって指し続ける……。
将棋に使っている時間は膨大なのにもかかわらず、実力が伸び悩む。

正直自分がそうだった。
確かに実戦でしか学べないこともある。
だけど断言していい。
級位者は実戦の数を極力減らして、その時間で詰将棋など他の時間にあてた方が強くなる。

確かに、今スマホで将棋を指せば、勝ってレートは上がるかもしれない。
だけど、実力は上がってないから、またすぐ戻るだろう。

遠いようで、それが一番の近道だと思う。
ぜひ、反面教師にしてほしい。
今回の記事については以上(*^_^*)



私も初段目指して、詰将棋は引き続き継続中です。
一連の記事で紹介した本や、その他私が読んだ本についても、そのうち詳しくレビューしていきたいと思います。

【強くなるための最短経路④】目指せウォーズ1級

【ウォーズ1級を目指すために取り組むべき事項】

ここまでやってきた人は、序盤(定跡)、中盤(手筋、詰将棋)、終盤(詰将棋)という感じである程度バランス良く取り組んできてるハズ。

ただ、最後攻めきれずに負け、というパターンが多いだろう。
ここで、寄せ(囲い崩し、必至)について勉強する必要が出てくる。
囲い崩しと必至は覚えると終盤に非常に強くなるので、非常に面白いが、手数が多いので、読みの力がある程度ついていないと正直キツイ。
基本的に、必至は詰将棋に比べ難しい(1手必至でも、その後の詰めをいくらでも長手数にすることが可能)ので、最低でも簡単な5手詰が解けるくらいになってから挑戦しよう。

よって、まずは簡単な実戦型の5手詰から入り、必至の考え方を覚え、簡単な必至問題を解く。並行して囲い崩しもやる。

詰将棋は毎日数問でいいので解こう。
これで1級までは来れる。
私はこの段階で初めて詰将棋の必要性を感じ、3手詰ハンドブックを6周、3手詰ハンドブック〈2〉を1周、5手詰ハンドブック〈2〉を2周、3・5・7手実戦型詰将棋-基本手筋をマスターし、級から段へ (池田書店 将棋シリーズ)を1周した。大分棋力が上がった気がする。
もう少し早く気づいていれば……。
悪いこと言わないから、詰将棋は解いた方がいい。



◎5手詰本のオススメ
 

5手詰ハンドブック〈2〉

5手詰ハンドブック〈2〉

 有名な5手詰め本。2の方がやや簡単でオススメ。最初の一周は辛いが諦めないで!
 
5手詰将棋:テーマは「実戦! 」 (将棋パワーアップシリーズ)

5手詰将棋:テーマは「実戦! 」 (将棋パワーアップシリーズ)

 これは私自身は半分しか解いてないが、実践型でオススメ。
  上2つがキツかったら、これから入ろう。7手詰も入っているが、5手詰と難易度がほぼ変わらず気持ちよく解けるハズ。
 自信がつく良書。



◎寄せ(囲い崩し)オススメ
 

佐藤康光の寄せの急所 囲いの急所 (NHK将棋シリーズ)

佐藤康光の寄せの急所 囲いの急所 (NHK将棋シリーズ)

 美濃崩し、矢倉崩し等一通り基本の崩し方を押さえている。知らないと損をする手筋ばかり。
 ただ、絶版っぽいので、アマゾンやヤフオクで出品されているのを入手するしかない。



◎寄せ(必至)オススメ
 

寄せが見える本 〈基礎編〉 (最強将棋レクチャーブックス (1))

寄せが見える本 〈基礎編〉 (最強将棋レクチャーブックス (1))

 必至のかけ方を丁寧に解説している本。
 問題→解説の流れだが、初めて必至問題を解く時は正解が見えにくいので、答えを見て覚えるくらいの気持ちでいこう。自然と寄せの基本形の理解が深まる。
 私は馬鹿正直に初見で全部解こうとして、めちゃくちゃ疲れた。まずは読破するのが大事。
 
詰めろ将棋入門

詰めろ将棋入門

 最近出た本だが、相手の持ち駒が限定された必至問題集。
 相手の駒が限定されている分、読む量が減るので必至でも解きやすく、初めての必至問題集としてオススメ。
 難易度別になっているので、簡単なものだけ解くのもあり。

【強くなるための最短経路③】目指せウォーズ2級

【ウォーズ2級を目指すために取り組むべき事項】

このあたりから、相手が中飛車できたら嫌だなーとか、右四間でこられると対応が分からない、とか悩む人が出てくると思う。
だから、最低限の定跡と対応策を知るため、ネットで調べたり、定跡本を読む必要が出てくる。

最初は慣れないと棋譜をなぞるのに疲れてしまうが、盤駒で実際に並べながら少しずつでいいので読み進めよう。

また、定跡本の選び方としては、自分が指したい得意戦法を強化するために選ぶよりも、いつも相手に指されて嫌な戦法の対抗策が書いている本を選ぶ方が、実戦に活かしやすく、かつ読むモチベーションにもなって良いと思う。

ついでに手筋の本も一冊並行して読むのがオススメ。
知らない手筋を覚えると、おおっ!と感動を味わえるとともに、即戦力になるため強くなっている実感を得ることができる。

3手詰も、忘れず並行して反復すること。ぶっちゃけ他の勉強は多少蔑ろになってもいい、詰将棋だけは続けよう。



◎定跡本のオススメ
 

羽生善治の定跡の教科書

羽生善治の定跡の教科書

 広く浅く、基本の定跡が紹介されているので、一冊だけ選ぶならこれがオススメ。
 
禁断のオッサン流振り飛車破り (マイナビ将棋BOOKS)

禁断のオッサン流振り飛車破り (マイナビ将棋BOOKS)

 居飛車を多く指す人で、中飛車三間飛車に苦しめられている人は超オススメ。しかも読んでてユーモアがあって面白い。
 
右四間で攻めつぶす本 (最強将棋)

右四間で攻めつぶす本 (最強将棋)

 四間飛車をよく指す人で右四間飛車に苦しめられている人にオススメ。最初の急戦だけでも読むと、右四間の基本的な狙いがよく分かる。(ただし右四間視点なので注意)



◎手筋本のオススメ
 

 次の一手形式なので、読みやすくて素晴らしい。
 ダンスの歩はこれで初めて知った。

【強くなるための最短経路②】目指せウォーズ3級

【ウォーズ3級を目指すために取り組むべき事項】

1手詰めを卒業したら、今度は3手詰めをひたすら解きまくる。
ただそれだけで、3級になれる。

実際私はウォーズ4級から3級に上がったとき、我流袖飛車(ただ飛車を3筋に振って銀が突撃するだけ)を駆使して昇級した。
本当に入門棋書以外の定跡は知らなかった。

ただ、昇級した当時、珍しく3手詰を数日間集中して解いた記憶がある。(それでも40問くらい)
3手詰を繰り返し解けば、自然と読みと力が鍛えられて、必ず3級にはなれる。

詰将棋アレルギーがある人も多いと思うが、一冊頑張って仕上げてみて欲しい。

有段者にとっての詰将棋は上達にはそんなに左右しないのかもしれないが、級位者にとっての詰将棋は思った以上に即効性がある気がする。

人によってはこれだけで2級になれるだろう。



◎3手詰本のオススメ
 

3手詰ハンドブック

3手詰ハンドブック

 
3手詰将棋 (将棋パワーアップシリーズ)

3手詰将棋 (将棋パワーアップシリーズ)

 どっちも超有名本で、どちらでも間違いなし!
 まずは一周。終わったら周回しよう!

【強くなるための最短経路①】目指せウォーズ4級

私は将棋ウォーズで先日1級になったが、1級になるまでの間、将棋にかなりの時間を使ってきた。
正直、将棋の勉強に対する取り組み方が完全に間違っていたと思う。

だからこそ、こんなに遠回りをしてしまった。(7年かかりました。)

普通の人は一年も正しく取り組めば、ウォーズで1級くらいにはなれるようだが、中にはかつての私みたいに正しい勉強の仕方が分からない人もいるだろう。

今回自分の反省を踏まえ、自分の読んできた本の中で良書と、こうすれば良かった!という勉強方法をまとめておこうと思う。

少なくとも、下記のように取り組めば、ウォーズで1級までは最短経路でたどり着けると思うので、独学の方は参考に。



【ウォーズ4級を目指すために取り組むべき事項】

まずは入門書を読んでルールを押さえると同時に、棋譜の読み方と基本の将棋用語、対局の流れ、加えて基本戦法(棒銀等)を理解する。

盤駒があると理解が楽なので、安物でいいので盤と駒を買おう。(百均にそれぞれ百円で売ってる。)

後はひたすら1手詰を解きまくる。
自分は1手詰を馬鹿にして、全く初心者の頃解かなかった。しかし3手詰がそれでスラスラ解けるはずもない…詰将棋をやるのは嫌になってしまった。
棋力が停滞した原因はここにあると思う。

まずは一手詰を少なくとも頭の中で1問10秒以内で解けるようにしてから次のステップへ。
これだけでウォーズ4級にはなれる。



◎入門書のオススメ
 

いちばん勝てる将棋の本

いちばん勝てる将棋の本

  個人的には『いちばん勝てる将棋の本』の方が好きだが、一般的な評価は逆なようだ。好みで選んでよいでしょう。



◎一手詰本のオススメ
 

1手詰ハンドブック

1手詰ハンドブック

  ハンドブックの方が300問と問題が多いので、どちらかといえばオススメ。

『羽生善治のみるみる強くなる将棋 終盤の勝ち方 入門』レビュー

羽生善治のみるみるシリーズ三部作の内、最も新しい第三弾の紹介をします。
因みにこの本についても低級者の時、私自身は読むことはしませんでしたが、今になって読破しました。
私目線で初心者や低級者に役に立つ本か、感想を書いてみましたので、良かったら参考にしてください。



羽生善治のみるみる強くなる将棋 終盤の勝ち方 入門 (池田書店 羽生善治の将棋シリーズ)

羽生善治のみるみる強くなる将棋 終盤の勝ち方 入門 (池田書店 羽生善治の将棋シリーズ)

【対象棋力:初心者〜ウォーズ4級】



羽生善治竜王監修の2016年出版の本です。
内容は、概略以下のような感じでした。

◎プロローグ … 終盤で初心者が陥りやすい失敗等
◎第1章 … “詰み”とは何か/練習問題4+6問
◎第2章 … “詰めろ”とは何か/練習問題9問
◎第3章 … “必至”とは何か/練習問題4問
◎第4章 … “寄せ”の考え方/囲い崩し(矢倉囲い、美濃囲い、穴熊囲い)
◎第5章 … “受け”の考え方、基本の受け方/練習問題4+3問
◎第6章 … 終盤における考え方/総合問題23問



全体の流れとしては、王手の連続など初心者が陥りやすい失敗を指摘した後、
詰み→詰めろ→必至
と段階的に必至までを理解させ、その後寄せの考え方を丁寧に説明し、受けにも触れ、確かにこれを読めば終盤について一通り理解できる内容になっています。



特に初心者〜低級者がこの本を読むメリットは3つ

①王手は追う手であることを実感できる。
②終盤で“詰み”以外にも考えの切り口(詰めろ、必至、守備駒の排除等)があることを知ることができる。
③寄せの勉強の必要性に気付くことができる。



実際、私はウォーズ4級ぐらいまでは、終盤になるとただひたすら

( ゚Д゚)「詰みはないか…詰みはないか…」

と詰み探すマシーンになってました(笑)
とりあえず詰将棋の感覚で盤面を見るが、詰みそうな手は見えない。
でも、詰まないし、必至の形も知らなければ囲いの崩し方も分からない。じゃあ、王手かけてみるか…

これは寄せの勉強不足により、詰将棋という武器しか当時持ってなかったために起こった悲劇です。詰みの前に寄せをやらなきゃ、という意識がほぼありませんでした。

言葉として、「長い詰みより短い必至」などは知ってたんですがねぇ…当時こういう本を読んでいたら大分違っていたように思います。


そういう意味で、寄せをする意識がつくという点
で、特に過去の私と同じ思考回路を践んでる人にオススメです。



逆にデメリットは以下の3つ

①詰み、詰めろ、必至の説明に、何と半分強のページ数を割いている。(110/207P)よって、これらの概念を理解している場合、コスパが悪い。
②練習問題が少ない。


初心者だと、“詰み”はともかく“詰めろ”や“必至”を言葉としては知ってても、その定義があいまいな人は多いです。(自分はそうでした。)
そういう人は、本書を読めばしつこいほど丁寧に説明されているので必ず理解できると思いますが、既に理解している人には残念ながら蛇足です。

あと、問題数が少ないので、トレーニングの用途には適しません。あくまでも考え方がメインの本です。



最後になりますが、、、
個人的に一番面白かったのは、最後の総合問題ですね!
これめっちゃ良いです!!(*^^)v
詰みか、必至か、その他の寄せか、どれが正解か分からない状況で問題を解く。
流石に私には簡単すぎましたが、人によってはこれを解くことで、視野が広がる人もいると思います。

ただ、問題数が少ないんですよね。
誰かもうちょい難易度上げてこの手の問題集作ってくれないかなぁ…