苦しんで強くなる将棋ブログ

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才能皆無だが、試行錯誤して棋力向上を目指す。日常ネタもたまに…

『アマだから書ける初段に必要な大局観、考え方、テクニック』レビュー

このたびKindleで初めて本を購入しました!
しかも端末がスマホしかないので不安でしたが、そこまで違和感なく読むことができました。
それでは紹介していきます!



【対象棋力:ウォーズ2級~おそらく初段程度】


本書を読むに至った経緯(長いから頭以外飛ばしていいよ!!)

今回紹介するのは、『アマだから書ける初段に必要な大局観、考え方、テクニック』です。

著者のRoi将士さんは将棋ウォーズで三段の方で、個人でAmazonを通じてkindleで本書を販売されているようです。


なぜこの本を購入したかというと、ふと昔、知り合いの有段者が言ってたのを思い出したんですよ。
「級位者がプロの棋譜や定跡本を見て勉強するのは難しいかもしれない。一回り、二回りくらい強い人の棋譜を見て、攻め筋などを真似すると良いよ」と。


これ、実際一理あるような気がしませんか?


誰しもリアルで指せる環境があるなら、必ず人に直接教わった期間ってあると思います。将棋道場とか、高校の部活とか。
そういう人達って棋書も読むかもしれませんけど、自然と前述したことを実行できているわけじゃないですか。

級位者が急成長する上で「人に教わる」ことは非常に有効そうな気がしますが、そういったことも含めてなんでしょうね。


ただ自分は周りにリアルで教えてくれる知り合いもいないので~(・_・、)
将棋ウォーズでたま~に観戦しても、モチベーションが上がらず結局はおざなりになってしまっていたんですよね。


そこで、こういう本ですよ。
プロに比べたら自分に近い棋力で(失礼)、解説も付けてくれている。

自分より二回りどころではなく強い方の本ですが、かつての友人のアドバイスに近い効果があるのではないかと考え、読ませていただくことにしたわけです。


正直読む前は素人が書いた本なのでどうかな~という気持ちも多少あったんですけど。
(;゚ロ゚)ゴメンナサイ


本書の構成

本書はRoi将士さんが実際にネット将棋(将棋ウォーズや将棋?楽部24)で指した各戦法の棋譜(初手から全て)を、解説付きで追いかけていく形をとっています。

以下、本書の目次を引用

目次
 ミレニアム対角交換四間飛車
 ノーマル四間飛車居飛車急戦
 ミレニアム対ノーマル四間飛車
 雁木対矢倉
 角換わり48金29飛型対右玉
 角換わり45桂超急戦
 雁木対右四間飛車
 ゴキゲン中飛車対超急戦
 嬉野流(鳥刺し)対中飛車
 角換わり48金29飛型先後同型
将士の詰将棋
あとがき

各章で1局ずつ、計10局です。
著者は現在はオールラウンダーだそうで、居飛車持ち、振飛車持ち、どちらの棋譜も載ってます。

ただ、振り飛車を持った棋譜は「ノーマル四間飛車居飛車急戦」と「ゴキゲン中飛車対超急戦」の2局しか載ってないので、どちらかと言えば普段居飛車を指している方の方が参考になるとは思います。



因みに、この本のコンセプトや内容については著者自身が前書きにて、下記のように述べています。

初段になるために必要な局面の考え方等を自分なりに考察
攻めより受けを中心に説明していく(初段になるには受けが大事?)


最後に簡単な詰将棋がオマケ?で3問載っていました。


本書を読んでの感想

題名にもあるように、あくまでも大局観や考え方、テクニックを学ぶための本だなというのが読み終わっての第一印象。

私はミレニアムや鳥刺しは少し齧った程度で雁木に関してもほぼ指した経験がありませんが、普段居飛車中心で指すので、とても楽しんで読むことができました。

内容については、形勢判断や指し手の解説がメインです。

途中で色々著者が指す上でのポイントを挙げてくれます。
各状況での受けの手筋などもそうですが、考え方も非常に参考になりました。

序中盤は手番は交互に持つように指す
できるだけ相手の意図に沿わないように指す(踏み込むと分かっていても不利になることが多い)
形勢が悪いときは、できるだけ盤上を複雑にする
受ける際は、相手の攻め駒に当てた受けを考える(手番が握れる可能性がある)

などなど。
なるほどなーと思うポイントが多々ありました。

もちろん私自身どこかの本で読んだり、たまに見るYouTubeなどの動画配信者から動画を通して既に学んでいた手筋・考え方なども多くありましたが、「ウォーズ三段がどういう考え方を基に指しているか」を知れることが重要だと思います。

著者の将士さんも本を読んだり動画を見たりして勉強してきたんだなぁ、あの本も読んだのかな?とか想像して読むのも親近感湧いて楽しかったですね。


因みに最後に「将士の詰将棋」と題した詰将棋が3問載っていますが、これは私でも超絶簡単と思える問題だったので、詰将棋目当てで本書を購入するのはオススメしません。
あくまでもオマケです。


オススメの読み方

一般的な定跡本と同じで途中図も用意されていますが、一気に進んで一気に解説といった流れが多いので(多い時で40手程度)、この本を読むレベルの方は盤駒なしで読むのはまず不可能です。

盤駒を用意して、実際に並べながら読みましょう。
(著者もそれを推奨しています)

途中図から途中図までの手数が多いので、並べ終えてから解説を読むのではなく、最初に解説を流し読み焦点となる手にマーカーでチェックを付けておいて、並べながら平行して解説を読んでいくスタイルがオススメです。


↓こんな感じ(画像は本書から引用)
f:id:gerren:20181008193252p:plain:w200


この読み方は、普通の定跡本を使う際も意識している結構お気に入りの読み方なんですが、いかんせん紙媒体だとマーカーを引くのに抵抗があったりして中々実行できない。(結局頭で覚えて読んじゃう)

こういうところは電子媒体(kindleとかpdf書籍)っていいね。


購入する際の注意点

人を選ぶタイプの本であると思うので、一応注意点を書きますね。

注意点①(定跡本じゃないよ!)

まず、構成部分にも書きましたが、本書は様々な戦法を扱っています。
ただ各戦法基本1局しか扱っていないので、本書を読むだけでは、その戦法を得意戦法として扱えるようにはなりません。

あくまでも、対局の中での形勢判断に基づいて、攻めたり受けたりのタイミングやその手筋を学ぶ本だと思います。
(もちろん戦法特有の手筋や注意点についても触れていますが)

注意点②(実戦なので悪手もあるよ!)

本書は、「ウォーズ三段」クラスがどう考えて指しているかを実戦譜を用いて説明した本です。
よってソフト的には悪手である手も多々あります。

ただ、ソフト的には悪手かもしれない場面でも、「形勢判断の結果負けているから、逆転のためには悪手だと分かっていて敢えて勝負に出た」ような部分も多くあります。(というかむしろそこが本書のキモ

形勢が既に悪くなりすぎてしまい、仮にソフトに従った最善手を指し続けても負ける。
そうなったらもはや、ソフトの最善手が最善ではないよね?
じゃあ相手が間違えやすそうな別の手を指そうじゃないか。

そういった感覚に基づいた流れが多い本ですので、完璧な定跡やソフトの最善手を求めるような人には向きません。

どうしても著者の手が信じられないって人は、素直にプロが書いた定跡本を読んだ方が良いですね。
将棋の勉強は自分が実施している勉強法を信じてモチベーションを維持していくしかないので。
別に悪いことじゃないです、自分がやる気が出る勉強法を取りましょう。

注意点③(誤植の存在など)

正直、現時点ではやや誤植が多いです。_(:3」∠)_
これは読んでて私レベルで間違いに気付けるレベルなので読む分には問題ないと思いますが、若干気になる人もいるかな?

一応誤植の存在に関しては著者に連絡を取りお伝えしたところ、嫌な顔一つせず出来る限り修正する努力はしてくれるとのお返事をいただきました。(有難うございます!)

kindleの出版の要領を私は知らないので、そもそも修正が可能なのかも分かりませんが、もし誤植が少なくなれば後々本書に触れる方々が読みやすくなって良いですよね。
多忙な方のようなので、いずれにせよ直ぐには無理でしょうが、ゆっくりと待ちましょう。


あと気になる点があるとすれば、文章が少し独特なので少し読みにくいと感じる人がいるかもしれない点でしょうか。スミマセン。
因みに私は問題なく楽しめました。ヽ(^。^)ノ


※2018/10/23追記
誤植を修正した最新版がアップデートされました。

私自身で全て誤植が正しく修正されてるか確認してはいませんが、間違いなく読みやすくはなっていると思います。


 

最後に

本書については、特に劣勢の際の嫌味の付け方などが非常に参考になりました。
現時点で500円で販売されていますが、それでこれだけ楽しめたら満足です!

本の特徴としては、どこか『上達するヒント (最強将棋レクチャーブックス(3))』に近い部分がありますよね。
あの本も、アマチュア棋譜を解説した本じゃないですか。(もちろん解説が羽生先生で完成度が高すぎるけど^_^;)
やっぱりアマの棋譜からでも学べるものは多くあることが今回実感できました。

私自身は直接人に教えてもらった経験があまりないですし、動画を投稿している方々の将棋実況動画等もほぼ見ないので、棋書とネット将棋だけで99%勉強してきたのですが、今の時代それだけじゃいけないなと。
というか、強くならない理由の一つはそこなんじゃないかと。

取り合えず初段になれるよう貪欲に色々な方の教えを吸収していこうと思いました。


オレ ショダン ハヤクナリタイ('ω')