苦しんで強くなる将棋ブログ

苦しんで強くなる将棋ブログ

才能皆無だが、試行錯誤して棋力向上を目指す。日常ネタもたまに…

【検証】古い将棋本の臭い・汚れを取ってみた【閲覧注意】

以前、古書店で中古の将棋本をGETした記事を書きました。

↓この記事
gerren.hatenablog.com


しかし、購入した本の内、2冊(将棋は歩から・将棋の詰め方)がめっちゃ臭かったんですよ。(古本独特の埃っぽいような、カビ臭いようなツーンとした臭い)

私は昔から結構臭いには敏感で、これじゃ使えないってことで今回初めて本の整備を自分でしてみることに。
臭いを取り、あわよくば汚れも取りたい。加えてカビを殺菌して他の本への飛び火を防ぎたい。
 
ついでなので、既に所有していた棋書の中で唯一超カビ臭くて毎回気持ち悪くなりながら我慢して使っていた「谷川VS羽生100番勝負」も臭いがとれないか試してみることにしました。

因みに、本をピーしたりピーしたりするので、「貴重な本を乱暴に扱うなんて許せない!!」って方はここでページを閉じることをおすすめします。
あくまでも私が使いやすくするための処置ですので。

以下、閲覧注意。
(読みづらいと思うので、ここから先「である調」で書きます)
 

下調べ

まず、参考程度にネット検索で本の整備方法を調べてみると、少ないが色々と参考になるサイトがあった。しかし、サイトによって皆言ってることが違う……。
ただ全体的に消臭に有効なアイテムとしてよくあがっていたのが重曹」「新聞紙」の2つだった。
今回は記念すべき初整備のため、消臭に関しては有力そうなこの2つをメインで使っていきたいと思う。

因みにカビに関しては、一般的には無水~80%エタノール等で殺菌可能らしいが、濡らすと本がブワブワになりそうであるし、本の場合は完璧に除去するのは現実的に考えて厳しそうだ。


手入れ対象3冊の特徴・状態

備前の状態は下記の通り。

「将棋は歩から」&「将棋の詰め方」

f:id:gerren:20180902153828j:plain:w400

・ソフトカバー
・日焼けや染みがあり、天、小口、地が茶色く変色
・中身は綺麗で目立つ汚れはない
・ページを捲ったり鼻を近付けたりすると古本独特の埃っぽいようなツーンとした臭いがする(若干カビ臭も)
・「将棋は歩から」のみ天部に汚れあり

「谷川VS羽生100番勝負」

谷川vs羽生100番勝負―最高峰の激闘譜!

・ハードカバー
・見た目は中外ともに非常に綺麗で良好
・強いカビの臭いがあり上記2冊よりも私はこちらの臭いの方が苦手(ページを捲るとすぐ分かるレベル)


日焼け・染みを取ってみる

まずは「将棋は歩から」と「将棋の詰め方」のページ側面の茶色く変色した部分を削って元の白い色合いに戻せないか試してみることにした。
 
因みに削る理由としては見た目を良くする以外に、カビが根付いているならば削って元を絶ちたいと考えたため。
(できるならカビは殺菌したいが、無水~80%エタノールだと殺菌は可能だが漬け込まないと効果が薄い上、カビによる染みはとれない。他だと塩素系カビ取り剤や塩素系漂白剤が候補にあがるが、薄めても本を傷めそうなので今回は断念)
 
削って胞子が飛び散って逆効果の可能性も危惧したが、屋外で作業すれば被害を最小限に抑えられるだろうと考え、今回は削ることに。


今回この工程で使用した道具は以下の2つ。
・紙やすりの400番(使いやすいサイズに切る)
・軍手

紙やすりは数字が小さいほど表面の粒が粗く、大きいほど細かい。将棋の駒作りで使っていた400番が少し余っていたため、今回はそれを使用した。
軍手は出てきた粉をササッと払い落とすのに有用そうだったので試しに使ってみた。


では屋外に出て、実際に作業をしていく。


バーを外し、本の削る部分を手で握りペーパーの面が削る面に合うように気をつけながら、シャカシャカと擦っていく。
次第に削った面がサラサラになって綺麗になっていくのが見てとれる。

f:id:gerren:20180902153956j:plain:w300
↑こんな感じで片手で本を強く握ってページを密着するようにすると擦りやすい。(写真は作業後)

最初は、何かカマボコ板のような平面な物に紙やすりを巻き付けて削った方が面に狂いが出にくそうで良いかとも思ったが、実際やってみた結果、手に持って直接擦るので全く問題ないことが分かった。
少なくとも400番であれば、一部だけ削りすぎたりということもないと思われる。何より作業がしやすい。
 
また、これ以上細かいペーパーを使うのは作業時間が長くなるだけで逆にストレスだと思う。400番のみで作業するか、今回は試していないが300番→400番で順次使うのが個人的には良いかと。

削り終わったら、ページ内部や本の表面に削って生じた粉が付着しているので、息を吹き掛けたり、手で払ったりして粉を除去する。
(明るい場所で作業すると、風に乗って粉が飛んでいくのが見える)

今回色々検証した結果、本の背を持ってビンタするように表紙と裏表紙を手で強く叩いてやる方法が手間無く簡単に粉を除去する上で最も有効だと感じた。ただ古い本だとページが散ける原因になったりする可能性があるため、注意して実施するようにして欲しい。

古い本は手間だが、全ページ手で払うのと息で吹き飛ばす方法の合わせ技で除去していくのが最も安全かと思われる。

また、粉が残ったりしないか不安だったが予想に反してほぼ完璧に除去することができた。
(少なくとも私の目では視認できないし、手で触れても粉っぽさを感じないレベル)



で、作業を終えた結果。


↓左(Before)、右(After)

f:id:gerren:20180902153853j:plain:w400f:id:gerren:20180902154600j:plain:w400

小口

f:id:gerren:20180902153913j:plain:w400f:id:gerren:20180902154621j:plain:w400


「将棋の詰め方」はかなり白く綺麗に。
「将棋は歩から」は、元々日焼け(染み?)の茶色い変色の侵食が若干深かったため、多少削っただけでは元のように白くはならなかったが、やや薄くすることに成功した。
(写真ではあまり変わっていないようにも見えるが、私の目にはそう見える)

番数の粗いペーパーを最初に使っていれば、もう少し良い状態にできたかもしれない。
(因みにAfterの写真は汚れ落とし後の写真を撮り忘れていて全て終わった後で撮影したものなので、これ以後の検証で生じた謎の傷がある。本当はこの段階ではもっと綺麗だった。汗)


この後に、各本のカバーの表裏を殺菌目的でエタノールで湿らせた布で拭いて乾燥させた。あまり意味はなさそうだったが、この辺は気持の問題。

因みに「将棋の詰め方」のカバー裏中央部に茶色い点々とした謎の染みがあったが、これはエタノールでは全く除去することができなかった。

f:id:gerren:20180902153934j:plain:w400
 
やはり染み取りはエタノールでは無理のようだ。うん、知ってた。


臭いを取る(検証1回目)

それでは、次に臭いを取る工程に移りたいと思う。

今回使用する道具は以下の通り。
重曹(使ったのはこれ↓)
ピクス マルチ重曹クリーナー(食器 鍋 浴槽 換気扇 レンジ キッチン) 天然素材 2kg 大容量
・新聞紙
・密閉できる容器(本がギリギリ入るくらいがおそらく良い。今回はゴミ袋で代用)
・靴下やストッキング等(重曹を入れるもの)
・クリップ
・ハサミ

重曹と新聞紙どちらが効果があるか検証してみたかったため、同時進行で違う方法を用いて実施した。
 
ザッとそれぞれのネットで調べた使い方を説明すると、
重曹 → 容器の中に、靴下等の中に入れた重曹と本を一緒にして密閉する。重曹は直接振り掛けると効果大。その状態で数日放置。
◎新聞紙 → 新聞紙を数回繰り返し折って本のサイズ程度まで畳んだらハサミでカットし、それを本に数ページごと挿んでいく。最後に更に全体を新聞紙で包むと効果的。その状態で数日放置し、臭いが残っているようなら挟んでいる新聞紙を入れ替えて、また放置。

いずれの方法も、それ自体が臭いを吸収してくれるために消臭効果が期待できるということらしい。


それでは実際に実施していく。


1回目の検証では「将棋の詰め方」を新聞紙方式(今回は5ページごとに挿んだ)で、その他2冊を重曹方式で実施する。

重曹方式については直接振り掛ける方が効果が高そうだが、粉の除去が非常に手間であるし粉が残る不安もあるため、掛けないで済むのならそれに越したことはない。
よって、まずは他容器に入れる方法で実施した。

容器は靴下を用いても良かったのだが、今回は小さめのビニール袋を用いることにした。(靴下に入れる場合と比較して、特に大きな問題点はないはず)

f:id:gerren:20180902154132j:plain:w400

また、本の内部の臭いについてもしっかりとれるように、今回はページを10ページずつクリップ(大きめのもの)で挟んで、ページの中にも空気が行き渡るように工夫した。

クリップの処置と新聞紙の処置が終わったものが下の写真。

f:id:gerren:20180902154531j:plain:w400

これらを容器(今回はゴミ袋を使用)に重曹とともに入れ、封をする。
(冷静に考えれば新聞紙方式のものは別にした方が良かったが、今回は一緒に入れてしまった)

f:id:gerren:20180902154545j:plain:w400

これで準備完了。
この状態で3日放置して様子を見る。

この間、半日ごとくらいに袋越しに重曹を揉むようにした。(意味があるかは不明だが、空気に接している部分の重曹を入れ替えてやった方が効果的かと考えた結果の行動)

因みにこの段階での予想としては、重曹が本命だった。
新聞紙は多少臭いがマシになる程度で、強いカビ臭さは除去しきれないだろうと予想していた。(新聞紙がカビを殺菌してくれるわけではないため)


で、結果発表。

 
重曹  → 「めっちゃ臭い!!全然取れてないやん!!!!」
◎新聞紙 → 「え??臭い消えてる!!???」
 
重曹効果なし、新聞紙強し。
予想の逆をいく結果に。

因みにこの時点で、クリップを付けた工夫は本検証では無意味であったことが証明された。本の天が傷んだだけだった。(泣)


臭いをとる(検証2回目)

重曹は1回目の検証では全くダメダメであったが、直接振り掛ければ効果が期待できるのではないかと、次は直接振り掛けてみることに。

ただ、「谷川VS羽生100番勝負」はハードカバー本であるため、重曹を振り掛けた後、粉を除去する作業がソフトカバー本に比べて難しい。
よって、1回目と違い、今度は「谷川VS羽生100番勝負」を新聞紙方式で、その他を重曹方式(直接)で実施してみることにした。
(強いカビの臭いについても新聞紙でどれだけ取れるか興味があったのもある)


新聞紙方式を採った本については1回目の検証よりも消臭効果を高めるため、新聞紙を挟んだ後(今回は全ページに挟んだ)、消臭スプレーを吹き掛けた新聞紙で更に包んだ。(吹き掛けた面が内側)
これでカバー外側の消臭効果も期待できる。
↓(左:包む前、右:包んだ後)

f:id:gerren:20180902154504j:plain:w400f:id:gerren:20180902154516j:plain:w400

因みに今回使ったスプレーはこれ。

バイオウィルクリア スプレー 1L

ファブリーズやリセッシュ等の無香タイプの消臭剤でも良いかもしれないし、そもそもスプレーが効いたかは分からないが、多少は有効だと思う。
ま、これも気持の問題ってことで。
ただし、香り付きは避けた方が良いと思う。


次に重曹方式の2冊。
「将棋の詰め方」については既に臭いが大分取れているが、せっかくなので「将棋は歩から」と一緒に重曹まみれにした。カバーにも臭いがついているので、本と一緒に放り込む。

f:id:gerren:20180902154446j:plain:w400
(うわぁ……)

今回は検証ということもあるが、中途半端なことをして結果が出ないのも嫌なため、振り掛けるだけでなくページの間等にも大量の重曹を摺り込ませた。(あとで粉落とすの大変だと思いながら)

これにて準備完了。
この状態で同じく3日放置して様子を見た。


で、結果発表。


重曹  → 「めっちゃ臭い!!全然取れてないやん!!!!」
◎新聞紙 → 「え??臭い消えてる!!???」
 
いや、同じやん。

結果、重曹は直接大量に振り掛けてなお、効果なし。
新聞紙は強いカビの臭いの除去にもかなりの効き目があることが分かった。
(スプレーが効いた可能性も捨てきれないが、今回スプレー成分は本外部にしか触れていないため、ページ内部まで作用しにくいと考える。しかしページ内部までしっかりと臭いが取れていたことを考えると、おそらく新聞紙が主に効いたのではないかと)

因みに、この後の重曹の除去は紙やすりで発生した粉とは比較にならない程面倒だった。
全ページ素手で粉が付着していないか撫でる要領で確認しながら除去し(粒子が粗いため、重曹が残っているとザラザラした感触がある)、ページの間の奥に入り込んだ粉は全て息で吹き飛ばして何とかギリギリ納得できるレベルまで取り去ることができた。


しかし、仮に臭いが取れるとしても面倒くさすぎる!!
よって、私は重曹方式をおそらくもう二度と採用することはないだろう。


ただ効果があるという情報が出回っていることを考えると、今回用いた重曹が古く消臭効果が低下していた可能性(古い重曹だと効果が低下するかは不明)や今回用いた重曹の粒子の大きさが消臭に不適切だった可能性(空気に接する表面積が変わるので結果に違いが出そう)、また実施要領に不備があった可能性も高いため、一応今回の検証については一例ということで考えてもらいたい。


まとめ

本検証から学べたGOODポイント

・紙やすりによる日焼け・染み落としは有効!(ハードカバーでは難しいと思われるので注意)
・紙やすりは400番を使うか、300番→400番と順次使う
・本の消臭に新聞紙は有効
・消臭スプレーは若干効果あり??(検証しきれず)

また、新聞紙を用いた実施要領には以下のようなメリットがある。

・本が傷まない
・準備が短時間で終わる(5~10分)
・後片付けが楽(紙を本から引き抜いて捨てるだけ)
重曹と違って粉の残存を心配する必要がない
・消臭効果がスゴイ(少なくとも本検証では)

本検証から学んだBADポイント

・クリップの使用は本を傷めるので極力避けた方が良い(^^;)アタリマエ。やるにしても、小さめの栞を大量に作って各ページに挿めば本を傷めずに同様の効果が得られた気もする(後の祭り)
重曹の消臭効果を実感できず(他の重曹と比較してみるべきか。でも純度高ければ炭酸水素ナトリウムって製品によって違いとかない気もする)
重曹はむやみに振り掛けるのは良くない。(除去が大変なことに加え、湿度が高い等条件が重なると本に固着しやすくなる?)


最後に

消臭には、新聞紙さいきょー!!という話でした。
途中で検証条件を多少イジったりしたので結論があやふやになってしまいましたが、新聞紙さいきょーで問題ないと思います!!

因みに今回カビは臭いはすれど、モサッと生えていたりはしなかったのですが(黒い点々はもしかしたらカビかも?)、もしモサッと生えていた場合は処理が若干変わってくるかもしれません。

ただどちらにせよ本の性質上、カビを完全に除去することはまず不可能なので、換気を日頃から定期的に行ったり、除湿機等でカビが増えにくい環境を作るなどして、自分が生きている数十年の間だけでも本が快適に使える状態を保つことが一番大切なのかもしれませんね。