『いちばん勝てる将棋の本』レビュー
私は今までほぼ独学(棋書)とネット将棋で将棋を学んできました。
今回ウォーズで1級になったので、結節として初心者の頃から今に至るまで有用であった棋書などを自分なりに整理していきたいと思います。
初心者〜ウォーズ2級くらいの棋力の方の参考になれば幸いです。
まず、将棋に出会ったのは、将棋が強い友達に将棋仲間がおらず、誘われたのがキッカケです。当時は駒の動きが分かるだけで、棒銀や囲いの組み方すら全く知りませんでした。友達相手に六枚落ちですら勝てず、将棋つまんないな〜と早くも思い始めていましたが、さすがに悔しいので本屋に立ち寄ってたまたま見つけた下記の本を買いました。
- 作者: 里見香奈
- 出版社/メーカー: 日東書院本社
- 発売日: 2010/08/07
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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(全ての漢字にルビが振ってあるので子どもにもオススメ)
里見香奈女流五冠監修の2010年に出版された入門用棋書です。結果を言えば、この選択が個人的には大正解でした。
この本は
◎第一章 準備編 … 将棋のルール等
◎第二章 序盤編 … 基本戦法、囲い等
◎第三章 中盤編 … 両取り、田楽刺し、垂れ歩、端攻め等の基本手筋
◎第四章 終盤編 … 詰み、寄せ(必死)の基本等
◎第五章 実践編 … 実践的な寄せ
という感じで構成されています。
この棋書の良いところは、
①途中図が多く、ストレスなく読み進められる
②原始棒銀など、初心者がまず「勝つ」という経験をするために有用な戦法が載っている
③有名な囲いについて、自陣の手だけで組む手順が載っている
の3点だと思います。
特に②と③については有用です。
②:原子棒銀、三間飛車(早石田)、横歩取り、ゴキゲン中飛車の各戦法の序盤の大技をそれぞれ2ページでシンプルにまとめています。初心者が勝つ経験をする上で有用であると同時に、逆に自分が決められないように知っておくという点でも意味があるでしょう。
③:船囲い、美濃囲い(&高美濃囲い、銀冠囲い)、矢倉(右矢倉)、穴熊囲いの組み方と、それぞれの長所と短所をまとめています。相手の手順を無視して取り敢えず各囲いの組み方を覚えることで、初心者なりに将棋を指せてる気分になり、面白くなってくると思います。
要するに、この本は「第二章序盤編」の内容が初心者にとって素晴らしい内容になっています。第ニ章〜第三章を読み込むだけでも初心者脱出が可能でしょう。
実際に私はこの本で特訓後、友達に原始棒銀の有名手筋(銀のあたりを無視して歩打ち)を決めて一矢報いることができ、非常に嬉しかったのを覚えています。(棋力差が大きかったので勝負には結局負けましたが…笑)
この本を読む上での注意点としては、第四章の簡単な詰みの手筋の紹介が終わった以降は、一手必死に始まる寄せの内容に切り替わり、初心者にはキツイ内容になることです。(というか無理)少なくとも簡単な3手詰がサラサラ解けるくらいになってから挑戦するのが良いかと思います。(内容は、上級者になる上では必須の手筋ばかりで素晴らしい)
因みに内容の近い本に、女性のための将棋の教科書があります。こちらは立ち読んだだけですが、この本に構成が似ているなと思いました。
好みでこちらを選んでもいいと思います。
- 作者: 上田初美
- 出版社/メーカー: 滋慶出版/つちや書店
- 発売日: 2012/08/01
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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いずれにせよ、私が将棋を好きになった原点となる棋書です。
ただ棋譜が羅列しつつ横に途中図が記載しているような一般的な定跡本から入っていたら、将棋をやめていたかも分かりません。